U-18日本代表はSBSカップ全3試合で0-0。最終戦でアルゼンチンにPK戦勝利も80分勝利の優勝条件をクリアできず、準Vに
[8.25 SBS杯 U-18日本代表 0-0(PK7-6)U-18アルゼンチン代表 エコパ] 【写真】「可愛すぎて悶絶」「金メダル」「新しいジャケ写かと」大物歌手が日本代表ユニ姿を披露 U-18日本代表はアルゼンチン撃破も準優勝――。U-18日本代表、U-18アルゼンチン代表、U-18韓国代表、静岡ユース(静岡県選抜)の4チームが1回戦総当たりのリーグ戦で優勝を争った「2024 SBSカップ国際ユースサッカー」(静岡)は、25日にエコパスタジアムで大会最終日の2試合を開催。第2戦終了時で2位のU-18日本代表は、同首位のU-18アルゼンチン代表に0-0(PK7-6)で勝利したが、勝ち点1差の2位に終わった。優勝はアルゼンチン。MFサンティアゴ・プッゾ(キルメスAC)が大会MVPに選出されている。 SBSカップは80分ゲームでの勝ちが勝ち点3、PK戦勝利が勝ち点2、PK戦での敗戦が勝ち点1、負けが勝ち点0という大会レギュレーション。雷の影響で大会初日(22日)のみ60分ゲームでPK戦を行わず、タイスコアの場合は引き分けで両チームに勝ち点1が与えられた。 日本は韓国との初戦が0-0でドロー(勝ち点1)。続く第2戦で静岡ユースに0-0(PK5-3)で勝利し、勝ち点2を加えていた。一方のアルゼンチンは静岡との初戦を1-0で勝利。韓国にも1-1(PK5-3)で勝って、勝ち点を5としていた。日本が逆転優勝するためには、アルゼンチンとの直接対決で80分以内に勝利するしかない状況。だが、0-0で前後半を終え、“悔しい”PK戦勝利で戦いの幕を下ろした。 日本はこれまで4-4-2システムを基準に3-4-3も取り入れてきたが、“優勝決定戦”を4-3-3でスタート。GKが内山翔太(新潟U-18)で右SB斉藤秀輝(大宮U18)、ゲーム主将のCB土屋櫂大(川崎F U-18)、CB大川佑梧(鹿島ユース)、左SB布施克真(日大藤沢高)、中盤は永野修都(FC東京U-18)がアンカーに入り、インサイドハーフが山本丈偉(東京V)と大谷湊斗(昌平高)、前線は右ウイングに南創太(日章学園高)、左ウイングに神代慶人(熊本)、そしてCFにワッド・モハメッド・サディキ(柏U-18)が構えた。 船越優蔵監督は“世界大会でも起こりうるシチュエーション”で優勝の条件を選手たちに伝えてスタート。序盤、日本はDFラインから丁寧にボールを繋ぐ。アンカーの永野がボールを引き出し、大谷や山本と係わりながら、サイドへボールを散らす。そして、神代が鋭いクロスを入れたほか、南がDFの股間を抜くドリブルから左足クロス。また土屋がサイドチェンジで局面を変えたほか、右ショートコーナーから斉藤のラストパスを神代が1タッチで狙うシーンもあった。 前半、日本がセットプレーの本数を増やしたが、アルゼンチンはポジション争いで決して引かずに駆け引きするなど、日本のペースでリスタートをさせない。そして、日本のセットプレーやクロス、ビルドアップから縦に差してくるボールを弾き返すと、10番FWジアンルッカ・バヌエラ(CSDトリスタン・スアレス)のドリブルなどの速攻。また、プッゾのロングパスを交えた攻撃で日本を押し返す。日本はプッゾにこぼれ球を狙われるシーンもあったものの、DFラインの集中した守りに加えて中盤で永野や山本が素早く奪い返すなど、前半の被シュートは2本だった。 勝つためにまず1点を目指す日本は前半28分、敵陣でインターセプトした神代が右足シュート。また、斜めの動きでPAに抜け出した大谷へ斉藤がスルーパスを通すなど、アクションを入れながら攻め続ける。 すると、35分には左クロスのクリアを右中間で拾った斉藤がアーリークロス。これを布施が折り返し、最後は山本が身体を投げ出して押し込もうとする。アルゼンチンのクラウディオ・オスカー・グニャリ監督から「本当にダイナミックなサッカーをしていて、凄く組織的。一人ひとりの個のレベルも上がっています」と評された日本は連動した攻撃で相手のわずかな隙を突こうとしていたが、ゴールを破ることができない。 ハーフタイムに南とMF嶋本悠大(大津高)を入れ替え、大谷が右サイドへ。後半、パスを出した後の動きや3人目の動きが増加した日本は10分、嶋本が右中間へ抜け出し、そこへ永野のスルーパスが通る。嶋本の正確な折り返しをワッドが右足ダイレクトで狙うが、決定的な一撃は枠を外れた。 13分には自陣でボールを失い、ピンチになりかけたが、大川がインターセプト。幾度か速攻を受けていたが、日本は切り替えの速い守りを継続する。また、今大会抜群の動きを見せていた土屋を中心としたDFライン、GK内山も安定。今大会無失点の守りを支えに1点を狙う。18分に斉藤を右SB柴田翔太郎(川崎F U-18)と代え、23分には永野を左WB池間叶(名古屋U-18)へ入れ替えて土屋、大川、布施の3バック、山本をアンカーに置く3-5-2システムへ移行した。 日本は投入直後の池間がすぐにクロスへ持ち込んだほか、27分には右WB柴田が右タッチライン際で縦へ仕掛けてクロス。これをワッドが頭で合わせるが、わずかにクロスバー上方へ外れた。攻撃を加速させたい日本は28分に大谷と神代をMF天野悠斗(G大阪ユース)とFW安野匠(帝京長岡高)へスイッチ。安野のスピード、クロスや天野のキープ力も活かして攻めようとするが、なかなかアルゼンチンゴールを脅かすことができず、またセカンドボールを拾われて押し返されてしまう。 アルゼンチンの選手が狡猾に時計の針を進める中、後半35分頃からは“ゲリラ豪雨”のような大雨。日本は6分間のアディショナルタイム突入後、山本を最終ラインへ下げ、土屋を前線へ上げる形でパワープレーを試みる。ポゼッションからロングボールを交えて攻めるも、シュートシーンを増やせないまま後半終了の笛。この時点でアルゼンチンの優勝が決まり、その選手たちはガッツポーズや歓声を上げて優勝を喜んだ。 日本は2013年以来となる優勝とU-19日本代表への個人昇格を掲げてSBSカップに臨んだが、優勝を逃す結果に。船越監督は「アルゼンチンというのはこういう文化の国で、本当に勝負にこだわって、こういうこともしてくるかも分からないっていうところまでしっかり伝えていたものの、 やっぱり相手の術中にはまったというか、もうそれは本当に否めないなっていうところです。『いい経験だったでは終わらせられない』のかなっていうのは感じています」と残念がる。 勝敗をつけるため、試合はPK戦へ。切り替えて臨んだ日本は1人目のワッドから山本、柴田、安野、布施、天野、嶋本と7人連続で成功する。最後はGK内山が相手の7人目のキックを足で止め、アルゼンチンの全勝優勝を阻止。内山を中心に、強豪からの勝利を素直に喜んだ。 今回、日本は静岡で約一週間の合宿を行い、アジアのライバル・韓国やアルゼンチンと対戦。船越監督は「本当に個人のところをベースに今回の合宿は見て、それが本当に世界とやった時にできるのかどうなのかっていうのを見極めるいい機会」とし、「新しい発見もあった」「(ユース年代のリーグ戦などで良いと言われるプレーが本当に良いプレーなのか、)ある一定の世界基準という基準を知れたってことは成果かもしれないです」と語る。 その上で課題として、「得点を取らないと勝てないなっていうのはもう1番です。得点を取るっていうところにもっともっとこだわっていかないと」と指摘。また、試合中のシステム変更などの意図を理解し、「もっと適用しないといけないかなと思います」。試合時間が短縮されるほどの雷雨など悪天候が続いたSBSカップ。それに良く適応して無敗で終えたが、ピッチでの適応力は優勝したアルゼンチンとわずかな差となった部分でもある。U-17ワールドカップなどで世界を経験してきた選手も、初招集組も課題を持ち帰り、レベルアップ。また、積み重ねて必ずアジアや世界で勝つチーム、個になる。