熊谷俊人氏が再選出馬表明 自民は協調路線か? くすぶる党内の不満 千葉県知事選
千葉県の熊谷俊人知事が16日、3月の知事選に再選出馬すると千葉市内で正式に表明した。これを受け、次の焦点は県議会最大会派の自民党の対応に移った。自主投票を主張する声も根強くあるなか、政策協定を含め、熊谷知事を支援する協調路線の方向で結束できるのか。一歩間違えれば、党内対立による事実上の〝分裂〟選挙に発展した前回の令和3年知事選の二の舞になりかねない。 ■感情的なしこり残る 自民には屈辱の記憶が残る。推薦した候補が前回知事選で、立憲民主党県連などが支持し、140万票を獲得した熊谷氏に完敗した。自民の一部が熊谷氏の支援に回ったこともあり、推薦候補は約100万票の大差をつけられた。 次期知事選に向け、県連内に自主投票を主張する声がくすぶる背景には前回選で激しく争っただけに、手のひらを返したような協調路線は難しいという感情的なしこりがある。 「独自候補の擁立が難しい以上、自主投票にすべきだ。悔しいが、『140万票の壁』を前に、現時点ではなすすべがない」。中堅県議は唇をかむ。 自民はこれまで会派の役員会や議員総会で知事選対応を協議したが、熊谷氏の態度表明後に結論を先送りしてきた。16日の正式表明を踏まえ、対応を決定する方針だ。 12月定例県議会の代表質問で早々に「熊谷知事のリーダーシップは不可欠だ」と持ち上げ、事実上の出馬要請を演出した立憲民主とは対照的だ。 知事選対応を県選出の国会議員団から一任されている自民県連の阿部紘一幹事長や宇野裕県議会議員会長は、あくまで協調路線で乗り切りたい意向だ。 ■「冷や飯」への危機 来年は知事選の先に参院選が、その2年後には県議選を控えており、知事選の対応次第では〝冷や飯〟を食う可能性も捨てきれないのが理由だ。 熊谷氏が再選した場合、他党より対応が出遅れ、対決姿勢にこだわり続けていれば自民の支持組織・団体の要望を県政に反映するのは難しくなる。 県連内には「厳しい選挙が予想される参院選や県議選で知事が応援に入ってくれないのではないか」(幹部)という危機感も漂う。