「永遠のライバル」岡山vs.広島に雪解けをもたらした「県知事同士の友情」…47都道府県「知事の素顔」を調べてわかったこと
意外と少ない「県職員」の知事
西日本には、官僚や役人から知事になった職人肌も目立つ。その筆頭格が福岡県の服部誠太郎知事だ。3期務めた小川洋前知事ががんで辞任(その後死去)し、右腕の服部氏が跡を継いだ。 「意外と県庁職員から知事になった例は全国でも少ないんです。福岡の財政課長も、以前は中央省庁出身者が務めていましたが、県職員としては私が初めて就任しました」 県の予算を隅々まで把握する服部知事は、職員からは「どんな問題も絶対に見逃さない」と恐れられているが、入庁時はまさか自分が知事になるとは思っていなかったという。 「福岡には九州全域から人材に集まっていただいている面もありますから、県の活力を周りに波及させることが義務だとも思っています。 やはり大事なのは、仕事をつくること。福岡はTOTOや安川電機、日本製鉄といった世界企業が立地していて、農林水産業も盛んです。トヨタ・日産の新工場建設や台湾の半導体メーカーASEの工場誘致など、さまざまな企業誘致にも取り組んでいます」
突然、経済成長が始まった
いま、九州で最も活気のある県が福岡の隣の熊本県だろう。こちらは元総務官僚の木村敬知事が、4期務めた蒲島郁夫前知事の後継者となった。 「年明けからTSMCの第2工場の建設が始まる予定で、うれしい悲鳴という状態です。課題は二つあって、一つが渋滞対策、もう一つが地下水保全。不安の声も多く、しっかり対策しなければなりません。TSMC進出でいきなり経済成長が始まったので、戸惑いがあるのも事実です」 熊本空港の国際便は2年前までゼロだったが、いまでは週およそ40便に大増便。県民の目も、海外に向き始めているという。 「熊本から台湾までは飛行機で2時間と、東京までとほぼ同じ距離です。熊本県民は人柄の明るさも魅力。県外だけでなく、海外からも人をどんどん呼び寄せたいですね」 すべてのお国には、各々の事情と権力構造がある。おらが町の「殿」の頭の中を、知っておいて損はない。 「週刊現代」2024年12月21日号より
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