中露+「第3の隣国」 バランス外交に苦慮するモンゴル ウクライナ侵略で国際環境激変
6月28日に行われた国民大会議(国会)の総選挙で与党モンゴル人民党が勝利しており、現在の外交方針が継続される見通しだ。
対露関係では、モンゴル国境付近で旧ソ連軍と日本の関東軍が衝突したノモンハン事件から今年で85周年を迎える。プーチン大統領は80周年の19年、75周年の14年にそれぞれモンゴルを訪問。フレルスフ大統領とプーチン氏は昨年10月に北京で会談した際、24年9月に戦勝を共同で祝うことで一致した。モンゴルは国際刑事裁判所(ICC)加盟国で、戦争犯罪容疑でICCから逮捕状を出されたプーチン氏を拘束する義務もあり動向が注目される。
■「中国がくしゃみをすればモンゴルが肺炎に」
経済面で中国への依存をさらに深めた。23年の対中輸出は前年比約3割増で、輸出全体の約9割を占めた。石炭輸出の拡大が牽引した。ウランバートルでは中国企業の看板や中国人旅行客の姿も目立つ。現地の企業関係者は「中国がくしゃみをすればモンゴルが肺炎になるほど中国経済に依存している」と指摘する。
経済関係強化に従い対中嫌悪感は以前より減退したが、清朝の支配を受けたといった歴史的な経緯もあり対中依存増大への警戒感は根強い。ウランバートルで働く30代の女性は「中国は人口も経済規模も大きすぎるので飲み込まれないように注意する必要がある。中国が周辺国と抱えている国境問題もモンゴル人はよく見ている」と話した。
近年、中露が結束を深めていることも両国に挟まれたモンゴルにとっては警戒要因とみられる。現地では日本とのさらなる関係強化に期待する声も多い。