５回２死一、三塁、左中間に１号３ランを放った万波（中央）は歓喜の生還（左は水野、右は松本剛＝カメラ・堺　恒志）

◆パ・リーグ　日本ハム４―２楽天（３日・エスコンフィールド） 　やはりこの男だった。日本ハム・万波中正外野手（２３）は、余韻の残る右手を高々と突き上げた。５戦２０打席目で飛び出した今季１号は開業２年目を迎えたエスコン通算１００号。球場がメモリアルアーチに揺れる中「ファイターズの球場なのでね。最高です」とお立ち台で胸を張った。 　キラーらしく一撃で仕留めた。５回２死一、三塁。「狙ってました」と岸が投じた初球のスローカーブを左中間席へ。初回１死二塁では左前へ先制適時打を放った。昨季打率４割４分４厘、１本塁打と好相性だった右腕からチーム全４打点をたたき出した。２日の同戦では初回、３回と２度の絶好機で三振。主砲としてやり返す姿に新庄監督も「切り替えられるようになったね」と精神面の成長をたたえた。 　入団時から胸に秘めるのは「球場で一挙手一投足、目が離せない選手になること」。抜群のスター性を誇る新庄監督がほれ込み、今季はキャンプイン前に唯一レギュラーと明言された。だが慢心とは無縁。球団トレーナーが「向上心が違う。意識、練習量もズバ抜けている」と驚くほど自らを追い込む。２３歳を突き動かすものは昨季１本差でキングを逃した悔しさだ。「一番目指してるタイトル。取る気満々」。開幕５戦目で号砲を鳴らした。 　５戦連続安打で再びチームも貯金１。この日の「３番」での一発で、２１年に記録したプロ１号から全打順でのアーチも２３歳１１か月の最年少で達成した。「選手として一段も二段も上に行きたい。４０本打って、優勝します」。新時代を託された男が、スター街道へとひた走る。（堀内　啓太）