ルート決定持ち越し 与党整備委・詳細案 意見まとまらず、週内再協議
●「小浜」混迷深める 北陸新幹線敦賀以西の延伸について協議している与党の整備委員会は18日、「小浜ルート」の詳細3案から一つに絞る決定を持ち越した。年内の選定を目指し、この日に結論を出す予定だったが、出席者の意見がまとまらず、週内に改めて議論することになった。小浜案に関しては、工期、建設費の大幅な上振れを受け、京都府など沿線自治体から懸念が示されており、石川県などでは「米原ルート」への再考を求める声が強まる。ルート論争は混迷を深める異例の展開となっている。 【図表】北陸新幹線・敦賀-新大阪ルート案 小浜ルートの延伸区間は敦賀から小浜市や京都市を経由して新大阪に至る。詳細ルートは京都新駅の位置が異なる3案があり、整備委は年内に1案を選び、2025年度政府予算案に建設費を計上して同年度中の着工を目指している。 会合は冒頭を除いて非公開。出席者によると、委員長の西田昌司参院議員(京都選出)が3案を2案に絞り込んだ上で、年内のルート選定を見送る案を示したが、一つに決めるよう求める委員から反対の意見が上がり、結論が出なかったという。 小浜ルートを巡っては、整備委が13日に開いた会合で大阪、京都の両府知事と、京都市長が地下水への影響、工期の長期化、費用負担などに対する懸念を表明。こうした指摘に慎重に対応する必要があるとする委員からは「年内のルート決定は難しくなった」との見方が出ていた。 ●JR西社長、京都駅近い案「望ましい」 京都新駅の位置候補は、JR京都駅の(1)地下の東西(2)地下の南北(3)西約5キロのJR桂川駅近くの地下―の三つ。JR西日本の長谷川一明社長は18日、大阪市内の本社で開いた会見で、詳細3案について「(乗客にとって)どこが一番便利かという観点からすると、現在の京都駅により近傍に造られるのが望ましい」との考えを示した。 ★小浜ルートと米原ルート 2016年、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームは北陸新幹線の敦賀以西について小浜ルートの採用を決めた。当時の国交省の試算では、小浜ルートが事業費約2兆1千億円・工期15年、金沢-新大阪の所要時間は1時間20分、米原ルートは事業費約5900億円・工期10年、所要時間は東海道新幹線に乗り換える想定で1時間41分。国交省は今年8月、物価高騰を考慮した新たな試算を公表し、小浜ルートの事業費は最大5兆3千億円、工期は最長28年に膨らんだ。