小さなサイズとブドウのような形が愛らしい「ムスカリ」の贈り花8選
藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい!
「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。 【写真】ムスカリを使ったブーケ&アレンジメントをもっと見る
1月の花「ムスカリ」
藤野幸信/Yukinobu Fujino 広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。
青い花の中でも特別存在感のあるムスカリの青
美しい青が魅力の花は数多くありますが、なかでもムスカリの青にはどこか特別感があると感じています。ムスカリの基本種であるアルメニアカムの花色は、瑠璃色、群青色、コバルトブルー……どの色名に近いのか迷うところですが、この時期のほかの青い花を集めた中に交ぜたとしても特別に目立ち、花が小さくても存在感があるのが不思議です。 だから、ムスカリが出回り始めると、その青を使いたくてしょうがなく、必ず店に置くようにしています。庭でムスカリが咲き出すのは3月上旬くらいからですが、切り花では少し早く、ちょうど今の時期から本格的に出荷が始まります。 ブドウの房を逆さにしたような形状から「グレープヒヤシンス」という別名でも呼ばれるムスカリ。基本種のアルメニアカムは葉が細く長さもあります。それに対し、葉が短くて幅広いのがラティフォリウムで、どちらも切り花でよく出回ります。国産のものはバルブ(球根)がついた状態で出荷されることも多く、私も好んでバルブ付きを取り寄せます。バルブの中に水分と養分が蓄えられているので、生産者さんから花屋まで、そして花屋からお客さまの元への移動の間も水下がりが軽減され、安心して贈り花に利用できます。 バルブ付きのムスカリが入荷すると本当にかわいらしくて、いつもより多く写真を撮影することもしばしば。ときには、バルブをつけたままアレンジに利用することもあります。 最近では園芸品種の種類が増え、淡い水色や白、ピンクなどの花色も切り花で出回るようになっています。ブドウのような個性的な房形、また、あの小さなサイズはほかの花にはないムスカリの魅力。青以外の花色でもその房形が贈り花の素敵なアクセントになってくれます。