『北の国から』『鉄道員』の聖地も営業終了。「根室本線」の廃止区間を巡ってみた
山部駅
布部駅を出ると、7分ほどで山部駅(富良野市)に到着。富良野盆地の南端に位置し、無人駅ながら周辺にはスーパーやコンビニ、複数の飲食店などがある。富良野にはオムレツにカレーをかけた『富良野オムカレー』という名物料理があり、駅の近くにこれを提供するお店があるのをネットで見つけたのだ。 次の列車まで時間があったのでその間に食べようと店に向かうもこの日は生憎の定休日。仕方なく駅のベンチで時間を潰していたが、そこにはもう1人いかにも鉄道ファンっぽい男性が。 休みを利用して関西から来たという30代の会社員で、「雪だらけでめっちゃ寒いし、ザ・田舎って感じですけど、それが逆にいいんですよ」とのこと。言い得て妙とはそのことで確かにその通りかもしれない。
下金山駅
列車は富良野盆地を離れ、しばらくすると下金山駅(南富良野町)に。現在は単式ホーム1線のみだが国鉄時代は長編成の列車が停車していたため、ホーム自体は長い。しかも、当時は列車交換が行えるように1面2線の島式ホームになっており、これとは別に貨物用のホームも設置されていた。 そのためか駅舎との間には少し距離があり、雪の上にはエゾジカと思われる複数の足跡が。駅周辺は集落になっているが駅の裏手には山が広がっているため、人里に下りてくることも多いのだろう。 82年に無人駅化されたが、窓口は今もそのまま残されている。このスペースが駅待合室として使われ、広さは4畳半ほどしかないがゴミひとつ落ちておらず、清掃がかなり行き届いている様子。3人掛けの椅子に手作りの座布団が敷かれているのも地味にありがたい。
金山駅
下金山駅の南約7㎞の場所にある金山駅(南富良野町)は、今回の廃止区間の中では山部駅と並んでもっとも古い1900年の開業。豪雪地帯らしくトタン屋根が大量の雪で覆われた平屋の木造駅舎は、昔ながらの北海道の田舎駅といった雰囲気だ。 ここには冬季は線路や駅などの除雪業務を担う保線作業の基地が置かれている。隣には2階建ての事務所があり、駅舎よりもずっと大きい。駅周辺で作業員たちが除雪作業をしていたが、それでもこの冬は大雪で運休になる日も珍しくなかった。 真冬でもこうして来ることができたのは極寒の中、作業を続ける彼らのおかげでもあり、そう考えると頭の下がる思いだ。