対中半導体規制の強化、日蘭が米の要請に難色-背後に米大統領選も
(ブルームバーグ): バイデン米政権が目指す半導体技術の対中輸出規制強化について、日本とオランダが難色を示していることが分かった。日蘭両国とも既存の規制措置が定着するのを待ちたい考えで、11月の米大統領選の結果を見極めたいとの意向があるとみられる。
米国はオランダに対し、中国の顧客が購入したASMLホールディングの半導体製造装置について、同社によるサービスや修理の提供を停止するよう求めている。これらの装置は現行の輸出規制が実施される前に中国に販売されたものだという。米国はさらに、フォトレジストなど半導体製造に不可欠な特殊材料の対中輸出を日本企業が制限することを求めている。
対中半導体輸出規制、バイデン米政権が日本やオランダに強化迫る (1)
だが、この問題に詳しい複数の関係者によれば、両国はさらに時間をかけて先端半導体製造装置の輸出規制が与える影響を評価したいと考えており、米政府が求める追加措置に抵抗している。また、11月に実施される米選挙の結果が不透明であることも要因のひとつだという。非公開の情報だとして匿名を条件に関係者が明らかにした。
ASMLとオランダ貿易省はコメントを拒否した。日本の経済産業省は、世界の輸出管理当局と連絡を取っていると述べたが、外交的なやりとりについてはコメントを控えるとした。米商務省のコメントは現時点で得られていない。
一部の関係者によると、エステベス米商務次官(産業・安全保障担当)を含む米政府高官らは8日、オランダで政府関係者と会談し、ASMLによる中国顧客企業へのサービス・修理の提供停止について取り上げた。オランダ政府関係者は米代表団に対し、新たな措置を導入するのは時期尚早であり、最近発動した輸出規制の効果を見極めるのが望ましいと述べた。
関係者によると、米代表団はその後ベルリンを訪れ、ドイツ政府関係者と同様の規制について話し合った。米国はASMLの重要なサプライヤーである独光学部品メーカー、カールツァイスが中国に重要部品を輸出しないようようドイツ側に求めていると、ブルームバーグはこれまで報じている。