急浮上してきた藤浪CS開幕投手案
能見か?メッセンジャーか?はたまた藤浪の大抜擢か? 決戦を前日に控えて、阪神のCSローテーションがベールに包まれている。セ・リーグのCSでは予告先発が採用されていないこともあって、調整段階から能見、メッセンジャー、藤浪の3人に同じメニューを科して徹底的に先発を隠している。 正攻法ならば、12日の開幕投手は“エース”なのだろうが、前田健太とのマッチアップを考えると“エース対決”を回避して、あえて必勝を期して2戦目に配置するという考え方もあるだろう。 [表・記事]CSで勝てない阪神 どうすれば広島に勝てるか?
開幕戦はエースをぶつけるべき
評論家の与田剛氏は、警鐘を鳴らす。 「阪神はマエケンにエースをぶつけるべきでしょう。シーズン中ならば、あえて外すという戦略はあるのかもしれませんが、短期決戦では、そういうことをやると、戦略ではなく、“マエケンには勝てないのだ”という弱さに見えます。それをやると後に響きます。いずれにしろ、藤浪は、どこかで使うべきでしょう。怖いもの知らずの若さの特権が、こういう舞台では生きてくるかもしれません」 私も与田氏の意見に大賛成だ。 監督が、策士のノムさんであれば、あえてマエケンとのエース対決を避けるという戦略はあるだろう。それが相手に「阪神ベンチは何を考えているんだろう?」と考えさせることにもなる。だが、今、和田監督が、その采配をふるえば、「マエケンから逃げた……」としか思われない。目に見えぬ心理戦で、一歩、後塵を拝することになる。 CS開幕戦には信頼すべきエースをぶつけるべきなのだ。
阪神のエースは能見かメッセか藤浪か
だが、ここで定義しなければならないのは、阪神のエースは果たして誰なのかという議論である。与田氏は「能見でしょう。今季最大の敵である巨人に徹底して彼をぶつけてきたのは、その現れだと思います」と、能見を前提に正攻法を主張していたが、今季の数字だけで言えば、勝ち頭は12勝8敗のメッセンジャーなのだ。ただ、求心力という点を考えれば外国人助っ人は、なかなかエースの座には置きにくい。そうなると11勝7敗の能見になるだろう。 しかし、能見に対しての首脳陣の信頼は、そう高くない。今季「多少の無理をしてでも」というベンチの期待を何度か裏切られてきたことが、信頼感を薄くさせている。そういう事情の中で急浮上してきたのが藤浪だ。高卒ルーキーでありながら2桁勝利。今季の阪神2位を支えた快速右腕である。阪神OBの岡田彰布氏は、近著「なぜ阪神はV字回復したのか」の中で、「藤浪は実質、チームの右のエースと呼んでいいい」とまで評価している。