話題作に次々出演!小野花梨、難しい役でもひたむきに挑戦「一生懸命って人の心を動かすパワーがある」
12年ぶり共演の風間俊介さんと恋人役
2023年、小野さんは、『初恋、ざらり』で連続ドラマ初主演を果たした。風間俊介さんとW主演を務めたこのドラマで小野さんが演じたのは、軽度知的障害と自閉症のあるヒロイン・上戸有紗(ありさ)。新しいアルバイト先である運送会社で出会った先輩・岡村龍二(風間俊介)と恋に落ち、初めての恋に悩み、心が揺れ動く様を繊細に描いたドラマ。 ――このドラマも難しい役どころでしたね。 「はい。軽度知的障害という設定ではありましたけど、軽度と言ってもどこまでが軽度なのかということとか、知的障害と言っても悩みや症状は十人十色だということで、ニュアンスの押し引きに悩む時間はありました。 でも、いろんなことに不器用で上手にできないことはあるけど一生懸命に生きている。ただそれだけで、そんなところがすばらしくて、それはもはや個性のひとつと言って良いのではないか、と思いました。 だから、私もただただ一生懸命に、できるだけ多くの方に応援していただけるような主人公でありたいと思いながらやらせていただいた作品でした」 ――何事にも一生懸命な有紗ちゃん。最終的には意地悪をしていたパートのおばさんたちも受け入れて応援してくれるようになって。 「そうですね。一生懸命って人の心を動かすパワーがあるんだなと思えました。『初恋、ざらり』に出てくるキャラクターはひとり残らず、役者さんご本人のお人柄もあって人間らしさがありながらチャーミングで、キュートで、そんなところが大好きな作品です」 ――純粋無垢な表情と初々しさがとても印象的でした。 「ありがとうございます。そこが有紗ちゃんの大きな魅力だと思いながら演じさせていただいたのでうれしいです」 ――ご自身で放送をご覧になっていかがでした? 「さまざまな事情で、台本の順番に撮影することが難しかったので、最初のほうはとくに声のトーンやスピードが定まっていないなと思うことはありました。 でも、クランクインする前にひとりで作り込むのではなく、監督やスタッフさん方と言葉を重ね、時間をかけて考えたからこそ生まれた表現やバランスは間違いなくあったと思うので、ここら辺の調整は今後の課題だなと思いながら見ていました(笑)」 ――軽度の発達障害があることを岡村先輩に打ち明けたときの不安、心情変化がとてもよく伝わりました。 「ありがとうございます。失敗の多い人生のなかで、相手のマイナスな感情ばかりに敏感になってしまうのは、とても共感を覚えます。そして、考えてもどうしようもないことばかりに気をとられて失敗を重ねてしまうんですよね。それで、どんどんダメになっていく。 軽度知的障害という描かれ方こそされていますけど、多くの人が共感できる。というのが、この作品のすばらしさだなと思います。 『一応彼女』って言われたらどんな人でも嫌だよな…とか、恋愛するなかで生まれる小さなボタンの掛け違いとか」 ――風間俊介さんは、『映画 鈴木先生』(河合勇人監督)で生徒たちを人質に中学校に立てこもる犯人を演じていて、小野さんも首に刃物を突き付けられていましたね。 「はい。本当にうれしい再会でした。子ども時代を知っていただいているという安心感と風間さんがお持ちの膨大なやさしさに完全に甘えてしまい、台本のことから風間さんに直接関係ない有紗のことまでなんでも相談させていただきました。 どんなことでも、『聞かせて、聞かせて!』と温かく聞いてくださり、風間さんが岡村さんでなかったら、と思うとゾッとするほどでした。心から感謝しています」