【闘病】まだ20代だから大丈夫と思っていたら”平滑筋肉腫”に「二カ月遅ければ突然死」から変わった人生観とは
悪性腫瘍のひとつで、多くは40代以降で発症することの多い「平滑筋肉腫」。好発部位である骨盤周辺に発症すると、肉腫が大きくなるまで早期発見が難しいと言われます。当時20代で自覚症状はあったものの「自分が病気になるはずがない」と思っていたら、「平滑筋肉腫」を発症していたゆるさん(仮称)。精密検査の結果、悪性の場合手術後に化学療法を行うと診断されたたものの、セカンドオピニオンの結果はまた違ったものになったそうです。そこで今回は、平滑筋肉腫と診断された経緯やセカンドオピニオン、周囲の支えに助けられた治療中のことについて聞きました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。※2023年6月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
20代で病気になるはずがない、と思っていたら「平滑筋肉腫」を発症
編集部: まず初めに、平滑筋肉腫とはどういった病気なのか教えていただけますでしょうか? ゆるさん: 平滑筋肉腫とは固形がん(血液がんを除くがんの総称)の一種で悪性腫瘍です。固形がんのうち、99%ががん、肉腫はわずか1%で希少がんに分類され、がんと肉腫の違いは発生部位になります。がんは体や臓器の表面を被う上皮細胞から発生しますが、肉腫は非上皮細胞と呼ばれる骨、軟骨、筋肉、血管などから発生します。肉腫の症状は、体の表面の近くであれば腫れやしこりなどがあります。骨の肉腫の場合は痛みが出やすく、そのほかの肉腫は痛みが出ないことが多いです。神経付近や神経に発生した場合は痺れや痛み、麻痺がでることもあります。私の場合は、心臓に繋がる静脈内にできました。このように体の深部に発生した場合は、腫瘍が大きくなってから初めて気づくことも稀ではありません。 編集部: 病気が判明した経緯について教えてください。 ゆるさん: ある時から、右側の骨盤付近の痛みと疲れやすさを感じていました。ですが当時20代だったこともあり、病気になるはずがないと過信していて病院には行きませんでした。しかし3週間ほど経つと足を引きずって歩くようになったため、整形外科を受診しましたが異常なし。その後、内科や婦人科も受診しましたが、原因不明との結果でした。さすがに何もないわけがないと思い、最後に消化器内科を受診したところ、運良くすぐにエコー検査をしてもらえました。そこで「肝臓付近に腫瘍のようなものがあるので、今すぐ近くの総合病院を受診してください」と言われ、すぐに救急で受診してCT検査を行った結果、即日入院となりました。 編集部: そこからどのように病名が明らかになったのですか? ゆるさん: 入院して1カ月ほど経ち、精密検査の結果心臓に繋がる下大静脈に腫瘍の可能性が高いものがあることが判明しました。腫瘍が神経を圧迫して骨盤付近に痛みが出たのだろうと言われました。すぐに手術が必要で、悪性の場合は術後化学療法をすることになるので、主治医が紹介する腫瘍内科併設の病院に入院し、抗がん剤治療を始めると説明を受けました。この時、入院まで2週間ほどの期間があったので、がんセンターと腫瘍内科併設病院の2院へセカンドオピニオンを受けに行きました。その結果「現時点で手術によって腫瘍を取りきれた場合、術後化学療法は不要。平滑筋肉腫は抗がん剤の効きが少し悪いのでリスクの方が大きい」と、2院から同じ説明を受けたのです。かなり悩みましたが、術後の入院はやめてがんセンターで経過観察することになりました。初回手術から3年で局所再発が見つかり、またさらに5年後に転移が見つかりましたが、その際はがんセンターから紹介を受けた腫瘍内科併設の病院で手術を受け、現在も通院中です。 編集部: そうだったのですね。やはりセカンドオピニオンは大切なのですね。 ゆるさん: これは主観になってしまいますが、希少がんに罹患されている方や疑いのある方は、可能であればがん専門病院への受診やセカンドオピニオンを受けることをおすすめします。私は最初、腫瘍内科が併設されていない総合病院で手術を受け、再発・転移時はがんセンターに紹介してもらった腫瘍内科併設の病院で手術を受けました。やはり後者(腫瘍内科併設の病院)の方が、医師から的確な説明が得られて対応も早く、治療選択の幅が増えたことで安心感がありました。一般的な総合病院では希少がんを扱ったことがない病院も多く、対応に違いが出るのは仕方がないことだと思います。国立がん研究センター中央病院などでは「希少がんホットライン」という電話で相談できる窓口もあります。そこでは、ご自身の近隣の病院の受診先の相談や希少がんに関する悩みも相談できるようです。