元葬儀場に無断で置かれるケースも…『身寄りない遺体』増え保管場所の確保困難に 火葬までの手続きには時間
自治体によって金額は異なりますが、一般的に都心部では1回あたり約20万円です。 葬祭扶助は全国的に増えていて、2021年度には、初めて100億円を超えました。
■葬儀場社長「長ければ1年」…長期化する身寄りのない遺体の保管
葬儀は自治体やNPO、福祉団体などの依頼で行われ、その後火葬されるのが主な流れです。 名古屋市では亡くなった人に身寄りがない場合、手続きのうえ区役所が火葬するよう定めていて、手続きの間は葬儀会社などに遺体の保管を依頼しますが、この保管が長期化しています。 後藤社長は「早ければ1週間、長ければ1年。平均大体3カ月くらい」と話します。
保管が長期化する理由についても、後藤社長に聞きました。 後藤社長: 「手続するまでに時間がかかるんですよ。法定相続人を順番に追っていくでしょ。行政のOKが出て死亡届を出すでしょう、火葬許可書が出てから、また今度はその費用の決済が出るまでに時間がかかる」 身寄りのない遺体について行政は戸籍などをたどって親族を探し、引き取りと葬儀・埋葬を電話や書面で依頼します。
そこで断られたり、期限までに書面が返送されなかった場合、自治体が火葬し、無縁仏として供養されます。 葬儀に詳しい「葬儀終活アドバイザー」の冨安達也さんは、この手続きの方法に問題があると指摘しています。
葬儀終活アドバイザーの冨安達也さん: 「どこの誰が亡くなったかというところと、果たしてその方は身よりがないとおっしゃったけれども、親戚はどこかにいるだろうというところを調査していくと、時間がかかる。(親族に)手紙を送っても半数以上は反応がない。結果、身寄りのない、引き取り手がない方の故人が多く出てきている」
身寄りのない遺体が増えているうえ、親族への確認作業に時間がかかることで、保管する期間が長期化し、保管場所の確保が困難になっているということです。 また、確認作業に時間がかかる理由については「人間関係の変化」があるといいます。 冨安さん: 「親戚といえども関係が希薄になっている家族・親族がどうしても目立ってきている。そこに加えてコロナ禍で、親戚といえどもなかなか会う機会も減り、さらに疎遠な関係になった。知らない人の最期の面倒は、お金のところも含めてみれないよねって」 身寄りがわかっても、関わりを持ちたくないと、引き取りを拒む人も増えているということです。 1人暮らしの65歳以上の人は、2000年には303万人だったのが、2020年には672万人に倍増しました。この先も、引き取り手のない遺体が増えることが懸念されます。