「家庭を壊した“元凶”を不幸にさせたい」 夫の元不倫相手が結婚、揺れるサレ妻が決意した復讐手段
●不倫相手の自宅に送ること自体に違法性はない
――不倫相手の自宅に慰謝料請求の内容証明を送ることは、問題ないと思われますが、配偶者のいる週末や時間帯に到着するようなタイミングで送ることに違法性はないのでしょうか。 不倫相手の自宅に内容証明を送る場合、それが不倫相手を名宛人としたものであれば、不倫相手による開封を予定したもので、あくまで不倫相手に慰謝料請求をすることを目的としたものですので、それ自体ただちに違法性はないでしょう。 あえて配偶者に知らせないように万全を期すのであれば、「本人限定受取郵便」の指定をして、本人が身分証を提示して受け取れるようにするという手立てがあります。
●不倫相手の職場に内容証明を送ってもいい?
――もしも不倫相手の自宅に送った内容証明の受け取りを拒否された場合、不倫相手の職場に送り直すことに問題はありますか。 自宅に届かないからといってただちに職場に送ることには慎重であるべきです。 「不倫相手」の不倫の事実を、不必要にその職場に伝えると、不特定多数の人に知らしめ、その社会的評価を低下させるものとして、「名誉毀損」(プライバシー侵害同様に、不法行為の一つ)になるからです。 少し過激な事案ですが、妻に不倫された男性が不倫相手が勤めているスーパーのお客様相談室へ電話をして不倫をしていることを告げたりしたとして、男性の「名誉毀損」を認めて11万円の慰謝料を認めた事案(東京地裁平成25年1月17日判決)もあります。 裁判実務上も、「就業場所への送達」は、まず住民票のある住所地または実際にその人がいる居所への送達を試みて、それでも不在か行き先不明で送達ができない場合にはじめて認められるものとされており、ただちに送付することは認められていません。
●不倫の暴露は自分も傷つける結果に
――最近は、SNSで夫の不倫相手を暴露する女性もいます。不倫相手への慰謝料請求で違法にならないためのアドバイスをお願いします。 実際に、不倫の事実を職場に知らせたい、親に知らせたい、というご相談は多くあります。 しかしながら、プライバシー侵害や名誉毀損の問題を呼び、被害者のはずが加害者に回ってしまうことになるので、弁護士としてはとてもお受けできないしおすすめできないとお話することになります。 実際に慰謝料請求の訴訟でも相手からプライバシー侵害や名誉毀損で反訴をされる事例もあります。 「社会的制裁」として不倫相手の職場や家族に不倫を知らせることは、すでに傷ついたご自身をより傷つけることにつながります。特にSNSなどでの拡散は決してしないように注意しましょう。 【プロフィール】 水谷 江利(みずたに・えり)弁護士 東京都立大学卒業後、新卒で大手弁護士事務所に入社、渉外企業法務を志して弁護士に。「もっと人の人生の近くで仕事がしたい」との思いから、2015年世田谷用賀法律事務所を開所。現在は個人の相続、離婚、不動産を中心に、国際離婚や企業顧問なども多く取り扱う。英語対応可能。東京弁護士会所属。 事務所名 :世田谷用賀法律事務所 事務所URL:https://setayoga.jp/