森のようになった廃墟に5匹の子犬が…イノシシの頭が転がる現場でボランティアが保護 「年間50~60匹を保護する」という野犬の多い地域
殺処分ワースト地域の徳島で、野犬の保護活動とは?
保護した子犬たちは全て野犬。少しでも野犬を減らしたく、保護をしているというまゆさんは活動についてこう説明します。 「今回はこの5匹含め、同時期に25匹の子犬を保護いたしました。1匹の母犬が最大で10匹生むこともあり 10匹一度に保護することはざらです。年間で50~60匹子犬の保護をしていますが、これが私の限界で保護する場所や預かる人もなく、野犬として育っていくのを見守ることしかできない犬はまだ山ほどいます」 そんな野犬の多さに保護をしても追いつかない状況とのこと。徳島県では令和4年度、907頭の犬猫が動物愛護管理センターや保健所に収容。収容された犬のうち、半数以上が野外で繁殖し生息していた「野犬」とのこと。人と生活することなく成犬となった野犬については、人への馴化(じゅんか)が難しく、たとえ慣れた人であっても飼育することは困難だとか。このため、やむを得ず犬の殺処分を行っているというのが実態だといいます。 「徳島県は常に殺処分ワースト地域です。野犬も非常にたくさんいますが、その徳島県でのワーストが私の活動している阿波市。殺処分のほとんどが阿波市の野犬であったり阿波市の犬です。迷子犬を探さない、飼い犬に避妊去勢をせず、田舎特有の外につないで飼う昭和スタイルが根強く残り、そのせいもあってなのか一向に野犬が減りません」
ボランティア「捕獲され殺処分になってしまわないよう…」
だからこそ、今は自分ができる範囲で野犬を減らす活動を地道に続けていくことが大切だと…。 「私が保護活動を始めたきっかけは、土管にいた1匹の子猫との出会いでした。初めは、保護活動とか何も知らなかったです。そこから保護するにあたりいろんなことを勉強し、クラウドファンディングをして土管の猫をレスキューしたのが始まり。もともと犬は生まれた時から家の中でいたので 家族と思って育ってきました。父親が犬好きなため、小さいころから犬がたくさんいる環境で過ごしてきました。周りに野犬が普通にいる環境でもあります。これは今も変わりません。 今住んでいる徳島県では野犬の成犬はほぼ殺処分となります。この阿波市は山も川もあり、野犬にはすみやすい環境であるため特に野犬が多い地域。大半の方が昔からそうしてきたように現在でも野犬と共存して暮らしていますが、一部農業の方などから畑を踏みあらすなどの理由で捕獲されてしまう命が非常に多いのも野犬が多い阿波市ならではだと思っています。 なので、私は子犬が野犬として育ち、いつか捕獲され殺処分になってしまわないよう妊婦犬を見かけては産後なるべく1カ月ごろに子犬を捕獲・保護し里親につなぐ活動を個人でしているんです。最初は1人で始めたことですが、今はボランティアメンバーさんや同じ徳島県でずっと最初から頑張っているハート徳島さんなど皆さまのご協力ありきで殺処分をなくすために頑張っています」 最後に野犬について、まゆさんはこう訴えます。 「捕獲する際は地べたをはうし、やぶに入ったりといつも危険と隣り合わせで、傷だらけになりますが…野犬は臆病なため、野犬に襲われたりしたことはありません。野犬=狂暴では全くありません。おとなしく臆病です」 (まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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