ヴィンテージデニムで垢抜ける方法。ザニーム長尾悦美さんとベルベルジン藤原 裕さんに聞いた今の気分
育てるのではなく、育ったヴィンテージを
ーーヴィンテージとひと口に言っても、千差万別。そのなかからどういったタイプを選ぶと、“今っぽく”アップデートできるでしょうか? 長尾 個人的な気分や好みもありますが、アイスブルーに近いくらい色抜けした“育ったもの”をさらっとはきこなすくらいが、お洒落だと思うんです。汎用性があってコーディネイトもしやすいですし。 ーー我々はついつい、デニムは“育てるもの”。濃紺リジッドからはき込むのが醍醐味と考えがちですが、古い慣習にとらわれる必要はないということですね。となると、ザニームで取り扱うヴィンテージデニムのラインナップは……。 藤原 80年代から90年代のアメリカ製デニムが中心ですね。70年代以前のレディスサイズとなると、そもそもタマ数が残っていないですし、コレクションや投資の対象ゆえ、価格も現実的ではないので。 長尾 実はもう、90年代のアメリカ製もじわじわと高騰しはじめていて、10年後、20年後にはもっとプレミアムなものになるはず。これを口実にパートナーを口説けば、買いやすいのでは(笑)。 ーー確かに(笑)。 長尾 面白いなと思ったのが、男性は一本のデニムの歴史や年代、稀少性の高さにお金を払う気がします。でも女性にとっては、あくまで合わせる服のひとつ。シンプルにかわいいかどうかのフィーリングが大事で、着てみてシンデレラフィットならば、多少高くても手を出してしまう気がしますね。 ーー確かに、大戦モデル以外は認めない! 革パッチやハリがないとヴィンテージじゃない! というようなディテール至上主義がスマートなスタイリングの邪魔をすることもありそうですね。 藤原 そこにこだわると、どうしても往年のアメカジスタイルを選んでしまいがちですよね。
[STYLE] 「デニムは育ててナンボ」。オーシャンズ世代に刷り込まれているこの感覚をいったん捨て去り、60年代の“育ったビッグE”を白い長袖ポロ合わせでさらっとはく。この塩梅がちょうどいいのだ。