SMBC日興社長、三井住友銀に90人派遣-連携拡大でリテール強化
(ブルームバーグ): 三井住友フィナンシャルグループ傘下のSMBC日興証券の吉岡秀二社長はインタビューで、三井住友銀行で個人向け証券仲介業務を行う営業員の派遣(出向)人数を大幅に拡充したことを明らかにした。銀行が持つ幅広い顧客基盤に資産運用などのサービスを提供する。連携拡大でグループ全体のリテールビジネス強化につなげる。
吉岡社長は、リテール事業について「力を入れていくべき分野だという認識を強く持っている」と説明。派遣人数は3年前の10人から足元で約90人に拡大したという。銀行顧客には富裕層も多いため資産運用ニーズは高く、連携は「まだまだ拡大余地がある」とし、さらなる増員の必要性も検討していると述べた。
新たな少額投資非課税制度(NISA)の開始や日本株の好調で、国内証券の多くはリテール部門の回復が収益をけん引している。SMBC日興の2024年3月期のリテール部門の営業利益は4億円(前期は331億円の赤字)と相場操縦事件前の21年3月期の447億円から落ち込んでいるが、連携強化により三井住友FG全体のリテール収益の底上げを図る。
吉岡社長は、SMBC日興は現在、個別株の売買などフロー中心の営業スタイルから顧客資産全体を見て助言する資産管理型ビジネスへの転換期にあると説明した。営業員の評価体系も2年前から収益よりコンサルティングベースに重点を移しており、早期に新たな事業モデルを軌道に乗せたいとの考えを示した。
同社は今月から、顧客の資産管理を行うデジタルサービスの分析内容を充実させ、利用対象も金融資産3億円以上の顧客から、担当営業員が付く全顧客へと広げた。対象口座数は2万口座から63万口座に拡大する。
銀証連携を巡っては、証券取引等監視委員会が14日に、顧客企業の情報共有に関する規制違反で三菱UFJフィナンシャル・グループの傘下銀行と証券2社の行政処分を金融庁に勧告した。三井住友銀とSMBC日興でも22年に同様の違反が判明しており、業界体質改善の遅れが規制緩和議論を遅らせかねない状況になっている。