秋季Cスタートの岸田オリックス 投手陣のキーワードは「自分のリズムじゃないリズムで投げること」
オリックスが5日、高知県での秋季キャンプをスタートさせた。 初日から“岸田色”が表れる練習メニューが組み込まれた。投手陣は「自分のリズムじゃないリズムで投げること」をテーマに、ブルペンでの投球練習を1日50球に限定。20~40球目は選手によってクイック投法など制限を設けた投球練習を行った。「僕も投手だったんでわかるんですけど、やっぱり気持ちよく投げるばかりではダメ」と新指揮官。厚沢投手コーチが狙いを補足する。 「試合の中で、気持ちよく自分のリズムで投げる時ってすごく少ない。盗塁されるかもしれないとか、スクイズされるかもしれないとか…。うちの子たちは(現状)みんな一定のリズムでしか投げられないんですよ。これは僕が(22年に)オリックスに来てからずっと思っていて。自分のリズムじゃないと、力一杯投げられないという錯覚があるのかなと」 実戦で訪れるあらゆる状況を想定させるのも、狙いの一つ。そして春季キャンプと違って、来季まで猶予がある今の期間だからこそ行える取り組みでもある。「バランスを崩してでも、ストライクを取れるスキルを付けましょうと。例えばマウンドの傾斜が違う球場行ったらストライク入らないとか、雨が降ったらストライク入らないとか。いろんな要素が重なってくる中で、いつでもストライクが取れるように、まず自分のリズムを故意的に崩してみましょうと」(厚沢投手コーチ)。 初日からブルペン入りした投手たちの捉え方も前向きだ。今季中継ぎで2季ぶりの勝利を挙げた椋木は、来季は先発に再転向予定。22年9月末に受けた右肘のトミー・ジョン手術を経て23年秋に実戦復帰してから「クイック(投法時の球速)が5キロぐらい遅くなっている」ことが課題で、通常モーション時と同様にクイックでも常時150キロ台を出せるように秋のテーマに取り組んでいる。「自分のタイミングじゃないテンポで投げられて、クイック多めのブルペンは今の自分に合っている。力みすぎずに(力感)7、8割でクイックと体重移動を意識したら、結構いい感じで手応えもあった」と、背番号15は明るい表情を浮かべた。 今季1軍で先発を経験し、来季は再び中継ぎで勝負する才木は「ウエートでもそうですけど、自分の嫌なことから逃げないって意味で、メンタル面での課題にも当てはまると思うので。嫌なタイミングで投げるというところから生かしていこうかなと思います」と、自らの全体的な課題と捉えて取り組む決意を口にした。他にも佐藤や川瀬など、若手主体だった初日のブルペン投球を、厚沢投手コーチは「意識が伝わってくるし、内容もすごくある投球をしていた」と評価。きょう6日は山岡、阿部、山崎、鈴木ら実績十分の投手がブルペン入りを予定しており、同コーチは「同じことができるかなと(思っている)」と、投手陣全体の底上げへ目を向けていた。 (阪井 日向)