"転売ヤー"は爆死状態!? 「晴海フラッグ」の中古市場に在庫が滞留中
晴海フラッグではすでに建物が完成して人が住んでいる。いったい誰が買って、誰が住んでいるのか‥。NHKが詳しく調べて特集番組を何度も放映した。 放送では外国人や転売目的の不動産業者が多くを購入している実態が紹介された。ただ、住む目的で購入し、実際に住んでいる方も一定数いる。残念ながら彼らは多数派ではないようだ。 現在、分譲されて引き渡しが終わった多くの住戸で賃借人を募集している。賃貸に出されているのだ。いわゆる「分譲賃貸」と呼ばれる住戸だ。 おそらく、分譲賃貸だけで数百戸が賃借人を募集しているのではないか。募集賃料の相場は平米単価で3千円台から4千円台。賃料を値引きした住戸から成約しているので、実質的には平米単価3千円台半ばかと推測する。つまり70平米の住戸が月額20万円台の半ばで借りられる。ここを都心だと考えれば高くない。晴海フラッグは「中央区で最も安く住める」街になりつつあるのだ。 逆に、賃貸に出す側にとってはやや不本意な水準かもしれない。だからといって、売却しようにも難しそうだ。 ■転売は困難な状況か この晴海フラッグの中古市場を見てみると、売り物件は常に100物件以上ある。しかし、国交省の所管サイトに登録された成約数は月に10件程度。そこから考えれば、売主側にとって実質的には2,3カ月での売却は著しく困難な状況だ。 売り出し価格は坪単価が500万円以上がほとんど。700万円以上も珍しくない。しかし、実際に成約した物件の坪単価は400万円台から500万円台が中心だ。 新築時の販売価格よりも高くは売れた物件もある一方で、買い手がつかない物件も少なくないという状況だ。こうした"売れ残り物件"の一部が、賃貸市場に流れていると思われる。 NHKの特集報道などでも明らかになっているとおり、晴海フラッグは「実際に住む」という需要ではなく、「転売しても儲けよう」という投機目的で購入されたケースが半分以上だ。しかし、そもそも駅から遠すぎる上に、数も多い。五輪選手村跡地という来歴の看板だけでは無理があり過ぎたのではないか。 当てが外れた転売ヤーたちの嘆息は、今後、何かとお騒がせ事件が多かった東京五輪の最後の「負の置き土産」になりそうだ。 文/榊淳司 写真/photo-ac.com