腕力は不要、しかも丸一日つづけても全然平気! 楽にできて腰を傷めない介助「5つのポイント」
ポイントは5つ「引く・押す・まわす・触れる・支点を変える」
武藤先生が述べているように、高い志を持って医療・介護の世界に飛び込んだにもかかわらず、腰痛のため退職を余儀なくされる職員が少なからずいるという悲しい現実があります。現場の人手不足が深刻化しているなか、腰痛は軽視できない問題になっていると言えるのではないでしょうか。 では、なぜ介助で腰を痛めてしまうのでしょう。論点を具体的にすると、これまで現場で行われていたパワー介護には、4つの問題点がありました。すなわち、「腰を支点にする」「抱く(もしくは抱える)」「つかむ」「持ち上げる」というタイプの動作で介助を行うから、従事者が腰を痛めていたのです。パワー介護の4つの危険動作をイラストにすると、次のようになります。 このようなパワー介護から脱却し、腰に負担をかけずに介助するためには、以下の5つのポイントを守って手技を行う必要があります。 その5つのポイントとは(1)引く、(2)押す、(3)まわす、(4)触れる、(5)支点を変えるで、ここに従来の介助法と私が教えている介助法との最大の違いがあります。 この記事、およびそれに続く連載では、上に掲げた5つのポイントと、それに関係する介助に必須のテクニックを紹介していきます。記事の後半では、まず「まわす」について解説します。医療・介護の現場で活躍中のみなさんの参考になれば幸いです。 後編記事『見学者が「奇跡!」と仰天……日本の画期的「介助技術」に込められたスゴ技「まわす」』ヘ続く
根津 良幸(埼玉医科大学客員教授)