韓国撃破に繋がった森下翔太の“ふた振り” 侍打線に勇気を与え、相手の息の根を止めた「4番の働き」【プレミア12】
ラグザス「第3回WBSCプレミア12」1次リーグB組が15日に行われ、日本代表は韓国代表に6-3で勝利。宿命の日韓対決となった台湾での初戦をモノにし、オープニングラウンドを連勝スタート。2度のリードを奪われながらも見事に跳ね返した。 【動画】韓国を絶望させた豪快弾!左中間スタンドへ運んだ森下翔太の2ランアーチを見る 粘り強さが際立った一戦にあって、ここでは森下翔太(阪神)の働きをクローズアップしたい。4番に座った若虎の「ふた振り」が勝利に繋がった。 日本の打線は初回、相手先発のチェ・スンヨンに対し、三振と2つの内野ゴロに抑えられていた。球速自体は145キロ前後と目を見張るものではない左腕だが、数字以上にスピンの効いた“刺さる”真っ直ぐを投げており、侍ジャパンの面々もスライダーとの組み合わせに手を焼いていた印象だった。 そうした状況で森下は2回裏の先頭打者として初打席に立った。直前のイニングで先制点を許しており、チェ・スンヨンを乗らせないためにも大事な打席だ。 背番号1は、ファウルで粘りつつ、7球目までにフルカウントを作る。2球目と4球目の後には投球の軌道を確かめるジェスチャーが見られ、ビデオと実際の軌道のズレを修正しているかのようだった。意識は内角に食い込むボールだったか。 そして10球目、森下は狙っていた内角への速球を強振。鋭い打球はセンター左へのクリーンヒットとなった。波に乗りかけたチェ・スンヨンに楔を打つヒットだ。 このあと、日本は一時逆転に成功するのだが、この森下の“ひと振り”がヒットになっていなかったら、もっと苦しい展開になっていただろう。 シーソーゲームの様相を呈した試合は、6回終わって4-3と日本が1点リード。息が詰まる展開に終止符を打ったのは森下だった。7回1死一塁から2ランを放ったのだ。 森下の打席から韓国は右腕のチョン・ヘヨンを登板させた。こちらも真っ直ぐとスライダーが持ち味の投手だ。 当然ながら初見の投手だったが、森下は初球から外のスライダーを思い切り振っていき、2球目以降はコースの出し入れを慎重に見極めていく。そしてカウント2-2から、5球目にやや甘く入った真っ直ぐを逃さず、森下はフルスイング。左中間スタンドへライナー性の本塁打をぶち込んだ。 まさしくこれが4番打者に求められる働き。相手の息の根を止める「ひと振り」。レギュラーシーズン中に何度も見られた虎の背番号1の躍動が大一番でも見られた。 大会はまだまだ続く。16日夜には地元・台湾(チャイニーズ・タイペイ)との「全勝対決」に臨む。今大会ここまで打率.714、長打率1.429、OPS2.206と文字通り絶好調の森下を中心にした若き侍打線がプレッシャーを跳ね除ける姿に期待だ。 [文:尾張はじめ]