ビジターセンターに聞いたおすすめの季節!PEAKS 3月号「今年登りたい日帰りの山。」
【福島県・群馬県】山と湿原、湖畔歩きを満喫する。大江湿原・尾瀬沼
沼山峠から尾瀬沼までは、尾瀬の魅力がコンパクトに凝縮されていて、オオシラビソが立ち並ぶ巨木の森、四季折々さまざまな植物が見られる大江湿原、北欧のような雰囲気をもち尾瀬を代表する景観の尾瀬沼と燧ひうちか岳などが楽しめる場所だ。また、尾瀬の数あるルートのなかでもっとも標高差が少なく、歩きやすいのも特徴のひとつ。古くは会津沼田街道と呼ばれる、会津と上州をつなぐ交易路として栄え、たび重なる開発の波に晒された“日本の自然保護運動発祥”の地でもある。 尾瀬沼は、群馬県の上毛かるたで「仙境尾瀬沼」と詠われるなど、静かで落ち着いた雰囲気に包まれる秘境感が魅力のエリア。開山期間中のわずか半年のあいだに春夏秋冬がかけめぐり、一日ごとに自然の移り変わりを感じることができる。東北以北最高峰の燧か岳を望むことができるのも、このルートならではの大きな楽しみになるはず。尾瀬沼と燧か岳。このふたつからなる風景は、ビジターセンターに半年間住み込む私たちにとっても、決して飽きることのない、なくてはならない存在だ。
Access
車の場合、東北自動車道・西那須野塩原IC から御池まで約2時間30分。シャトルバスに乗り換え沼山峠まで約20分。七入~御池までをつなぐ国道352号線は、例年11月上旬~ 4月下旬、御池~沼山峠間は5月下旬まで冬季通行止め。
Column
朝夕の特別な時間を 山小屋に泊まれば、静寂に包まれた尾瀬沼に少しずつ沈んでいく夕陽を眺めながら一日のできごとを思い出したり、日々をふり返ったりする時間をすごせる。早朝には朝靄のかかる幻想的な尾瀬沼を見られることも。
【島根県】季節ごとに見られる山野草がたくさん。三瓶山縦走
島根県のほぼ中央に位置する「三さん瓶べ 山さん」。山頂からは360度の展望を楽しむことができ、天候の条件が良い日には、島根半島の北方に位置する隠岐諸島の島影も見られる。初心者でも登りやすい山として周知されている三瓶山は、山野草の宝庫としても知られており、早春から晩秋まで、数多くの花々を観察することが可能だ。雪が残る春の初めには、陽が当たらないと開花しないユキワリイチゲや、早春の一時期のみ姿を見せるが、夏から秋には枯れてしまうスプリングエフェメラルという林床の植物が花を咲かせるため、めずらしい植物をひと目見たい人にぴったり。 5月中旬から6月頃には、男お 三さん瓶べ 山さんの北麓、北の原にある姫ひめ逃のが池いけにて、県の天然記念物に指定された紫色の美しいカキツバタが池を彩るようすも。秋は登山のピークシーズンで、紅葉が見頃となる10月下旬には多くの登山者が足を運ぶ。三瓶山で最後に噴火したといわれる室の内側の山肌には、錦をまとったかのような美しい紅葉が広がる。12月頃からは本格的に雪が降り始めるため、スノーシューでの雪山登山を目的とした登山者がちらほらと訪れる。