素振りを繰り返す正林（右手前）ら神村学園の選手たち（撮影・永田浩）

　全国高校野球選手権で2年連続4強進出を目指す神村学園が18日、大社（島根）との準々決勝に備えて調整し、4番正林輝大（3年）が完全復活を誓った。 ■【準々決勝の組み合わせ】神村学園は大社と激突！ 　3回戦の岡山学芸館戦で待望していた今夏の甲子園初安打が出た。「ホッとしました」と笑みを見せた4番だったが、小田大介監督はそんな4番の復調を手放しで喜んではいなかった。「宿舎に帰って正林に厳しくお説教しました」とまさかの説教タイムが待っていたのだ。 　3回戦で試合中に表情がさえなかった正林の様子を見て、小田監督は試合後宿舎で自室に正林を呼んだ。「自分の結果ばかりで打席に立っていないか。打てなくてイライラするのはわかるが、試合に出られない仲間のことを考えているのか。打てないとか不安とか弱気な発言をして仲間のことを思ってないんだったら自分から外してくれと言いに来い」と「ちょっと厳しめに」安打が出ずに自分の結果だけにとらわれてしまっている主砲を荒療治した。 　小田監督に呼ばれて1対1で話をするのは3年生になってからは初めてだったという正林は「打てなくて自分の結果ばかりになってしまっていた。チームのためにやるってことを改めて考えました」と準々決勝を前に4番打者として目が覚めた。 　この日は今大会3試合すべて完投している大社の左腕エース馬庭優太（3年）を想定し、打撃練習を行った。正林は打撃フォームなどをチェックし直してトップの位置や下半身の使い方を修正。「いい感じで打てました。（馬庭は）直球が球速以上に来ている感じがあるので振り負けないようにしていきたい。走者を一気に返す勢いで、4番の役目をしっかり果たしたい」と仲間を思いながらにバットを振る。 　満員のアルプススタンドから甲子園のスタンド中に広がる相手の応援も「あの空気にのまれないよう、自分たちがやるべきことを徹底してやります」と平常心で打席に立つ。チームを引っ張る4番として、昨年の先輩たちと並ぶ準決勝進出を決めてみせる。 （前田泰子）