<解説>「ブギウギ」の次は「虎に翼」 同じ時代で描く“法律もの”の朝ドラ 伊藤沙莉“寅子”がたどる人生は?
◇ヒロインのモデル・三淵嘉子とは? タイトルは「鬼に金棒」と同義語
ヒロイン・寅子のモデルとなったのは、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さん(1914~84年)。明治大学専門部女子部法科で学び、昭和13(1938)年に高等文官試験司法科に合格、日本で初めての女性弁護士の一人となる。戦後は、それまで女性への門戸が閉ざされていた裁判官への任官を目指し、裁判官採用願を司法省に提出。すぐには採用されず司法省で民法の改正と家庭裁判所の設立に携わった。そして昭和24(1949)年に裁判官になると、後には女性として初めての裁判所長も務めた。
ドラマは、そんな三淵さんの人生をモデルにしながら、激動の時代を生きた一人の女性法曹とその仲間たちの波瀾万丈の物語として大胆に再構成。登場人物名や団体名などは一部改称したフィクションとして、原作なしのオリジナルストーリーが展開する。
奇(く)しくも、三淵さんと「ブギウギ」のモデルとなった笠置シヅ子さんは、同じ大正3(1914)年生まれ。当然、ドラマも同じ時代を背景として描かれる。
なお、タイトルの「虎に翼」とは、中国の法家・韓非子の言葉から取られ、「強い力を持つ者にさらに強さが加わる」という意味を持つ、「鬼に金棒」と同義語。“トラコ”ことヒロインの寅子が、法律という翼を得て力強く羽ばたいていく姿、その強大な力にとまどい時には悩みながら、弱き人々のために自らの翼を正しく使えるよう、一歩ずつ成長していく様子をイメージした。
◇自らの道を切り開くため法律を学んでいく寅子たちだが…
そんな寅子(トラコ)がたどる人生は、どのようなものになるのだろうか。
始まりは、昭和4(1929)年、日本で初めて女性専門に法律を教える学校ができ、当時の日本のどこにも収まらない、あふれ出す何かを抱えた女性たちが集まってくる。寅子もそのうちの一人で、周囲から“魔女部”と陰口をたたかれた女性だけの学び舎(や)で、彼女たちは自らの道を切り開くため法律を学んでいく。