仲野太賀、池松壮亮は「心の兄と思っている」 『豊臣兄弟!』会見で長年の絆を明かす
2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の出演者発表会見が、10月2日にNHK放送センターで開かれ、主演を務める仲野太賀をはじめ、追加キャストとして発表された池松壮亮、永野芽郁、吉岡里帆、浜辺美波が登壇した。 【写真】“豊臣兄弟”の2人を見守る、浜辺美波・吉岡里帆・永野芽郁 本作は、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長の波乱万丈の生涯を描いた物語。主人公・豊臣秀長(小一郎)を仲野が演じ、脚本を『半沢直樹』(TBS系)、『おちょやん』(NHK総合)などの八津弘幸が担当する。 池松が演じるのは、小一郎を乱世に巻き込んだ野心家の兄・豊臣秀吉(藤吉郎)。『豊臣兄弟!』のタイトルの通りに重要な役で、今年3月の主演発表時から誰が演じるのかが注目を集めてきた。池松は、仲野が10代の頃からの仲で、俳優の仕事についてはもちろん、お互いの人生についても会話をしてきた、たくさんの時間を共に過ごしてきた間柄。3月の主演発表の際も「心から嬉しかったことを覚えています」と振り返りつつ、その翌日に制作統括の松川博敬氏からオファーがあり、「あまりにも驚いてしまい、しばらく固まってしまいました」と当時の心境を明かす。 池松が大河ドラマに出演するのはこれで3回目。『義経』(2005年)、『風林火山』(2007年)以来、およそ20年ぶりとなる。池松は秀吉を演じること、『豊臣兄弟!』という作品に出演することについて、「何百年も語り継がれてきた豊臣家、豊臣秀吉、この国が誇る歴史を、どのように自分たちがこれからの時代に向けて語り継いでいくことができるのか、語り直していくことができるのか。この時代にあったヒューマニズムというものを探しながら、そういったところを目指していけたらと思っています」と今の素直な気持ちを述べた。 永野が演じるのは、小一郎の幼なじみで“初恋のひと”となる直(なお)。乱世に翻弄される悲劇のヒロインだ。永野が大河ドラマに出演するのは、『八重の桜』(2013年)、『真田丸』(2016年)以来、3度目。NHKドラマとしても、ヒロインを務めた連続テレビ小説『半分、青い。』(2018年)以来となり、久しぶりの緊張感があると永野は話す。 大河ドラマ初出演となる吉岡は、小一郎の正妻として生涯をともに歩む慶(ちか)を演じる。吉岡と仲野は映画『泣く子はいねぇが』(2020年)でも夫婦役で共演しており、今回はそれ以来となるが、まだ脚本が完成していないため、先日の打ち合わせで「もしかしたら仲が悪い夫婦の可能性もあります」と言われたと吉岡は心配そうに話す。池松と同様に「太賀くん」と呼びながら、「私は仲野太賀という一人の役者としても尊敬していますし、一人の人としても尊敬していて大好きなので、この人を支えて、大河ドラマが日本に届くことを願って、一生懸命尽くしていきたいと思っています」と役者としてのリスペクトの念を強く表していた。 吉岡と同じく大河ドラマ初出演となる浜辺は、夫の秀吉とともに天下人への階段を昇りつめる正妻・寧々(ねね)を演じる。制作統括の松川氏、さらに演出の渡邊良雄氏とは、浜辺が出演していた連続テレビ小説『らんまん』(2023年)で一緒だったため、「とっても温かい気持ちを持って」いるという。 4人の出演発表を受けて、主演の仲野は「こんなに頼もしいことはないなと。僕個人として、大好きな俳優さんが集まってくださって、背筋が伸びる思いです。撮影自体はまだ先ですけど、何の不安もないですし、これから約1年半の撮影が楽しみです」と晴れやかな表情で応えた。 豊臣家のイメージについて聞かれた仲野は、『江~姫たちの戦国~』(2011年)で豊臣秀頼を演じていることに触れ、縁を感じてると話す。だが、秀長を主人公にする大河ドラマはこれまでになかった。「これまで描かれたものとはまた違う角度の大河ドラマになってくるのかなと思いつつも、そこは八津さんが絶対に面白い作品を書いてくれると信じて、頑張っていきたいなと思っています」と会見を見学に来ていた脚本担当の八津に仲野は笑顔を向けていた。 また、池松と兄弟役を演じることについて、仲野は「ともに猿顔と言いますか」と正直に話しつつも、「背格好とか見た目もそうなんですけど、池松さんには尊敬の念がありまして。自分としても心の兄と思っている方なので、池松さんと一緒にこうやって大河ドラマをやれるということは、僕としてはこれ以上ない幸せで、ものすごく気合が入っています」と池松を慕う気持ちを滲ませる。 一方の池松も、「遠目から見ると似てるのかな。猿が2匹いると思っていただければ」と期待に応えつつも、俳優仲間であり親戚のような気分も仲野には抱いていると話す。「太賀が嫌がるかなと思って、表では一切言ってこなかったんですけど、太賀が一番仲のいい、何かあったらいろんな話をしてきた相手です」と兄弟役を演じる上で最も相応しい相手であることを示していた。 会見終わりのフォトセッションでは、仲野から手を差し出し、池松と固く握手を交わす一幕もあった。 なお、制作統括の松川氏の囲み取材も行われ、物語は1591年に豊臣秀長が亡くなるところまでを描くことが明らかになった。池松の起用理由については、「シュッとした男前にやってもらったら嘘だなと思っていたというのもあって。(織田)信長役はこれからですが、猿と心から言える人でないといけない」と正直に伝えつつ、「2人のコンビネーションが大事になるので、何よりもそこを重視しました」と話している。仲野と池松は『風林火山』で共演しており、松川氏もそこで助監督として作品に関わっていた。 永野が演じる直は、史実にはない本作だけのオリジナルキャラクター。吉岡が演じる慶という呼び方もオリジナルで、浜辺が演じる有名な寧々までを含めて、松川氏は「創作のグラデーション」と表現していた。 時代考証は黒田基樹氏、柴裕之氏が務めることが明らかになっている。2025年6月にクランクイン予定。放送は2026年1月よりスタートする。
渡辺彰浩