「活用モデルとなる自治体目指す」ふるさと納税健全発展狙う自治体連合設立
地方を支援する「ふるさと納税」本来の趣旨・目的普及を狙いとした自治体連合の設立総会が16日、東京都の都道府県会館で開かれた。総会にはふるさと納税制度を提唱し、自治体連合設立を呼びかけた福井県の西川一誠知事ら27自治体代表が参加。自治体や国民に制度の理念を周知することや、ふるさと納税を活用した地域活性化の事例を調査研究し、優良事業を顕彰する「ふるさと納税未来大賞(仮称)」の実施、ポータルサイト運営事業者との連携などを決めた。
27団体が参加 ポータルサイトの民間事業者とも意見交換図る
「ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合」は福井・岩手・山形3県と、北海道東川町など19道府県24市町計27団体の首長が共同発起人となり、発足。 総会では、「地方と都市間の租税負担、行政サービスのバランスが大きく崩れる中、ふるさとへの想いを寄付と税制で実現する制度がふるさと納税制度」で、「返礼品による制度変更や規制議論ではなく、ふるさと納税制度の理解者を増やし、制度利用を広げることが必要」、「寄付者の想いに沿った施策の実現に寄付金を活用し、真の地方創生に結びつけることが重要」といった設立趣意書を採択した。 また、竹中貢上士幌町長(北海道)、吉村美栄子山形県知事、橋本正裕境町長(茨城県)、西川福井県知事、冨士谷英正近江八幡市長(滋賀県)、黒田成彦平戸市長(長崎県)の6人を共同代表に選出。 本年度はまず、設立趣意書に基づき、自治体・国民向けの啓発活動を行いながら、連合の参加自治体によるふるさと納税を利用し、地域活性化した事例集の作成、優良事例の発掘・顕彰のほか、制度健全発展に向けて、ふるさと納税のポータルサイトを運営する民間事業者などと意見交換し、連携を図ることなどの事業を進めることとした。
返礼品ではなく「まちづくりにどう生かされたかを基準に」
ふるさと納税制度は2008年に導入。10年目を迎え、認知度が上がると同時に、豪華な返礼品に人気が集まり、都市部の税源を奪っているという批判が問題視されるようになった。 総務省が寄付額の3割を上限とするよう、自粛を求める通知を4月1日付けで出したことから、返礼品廃止や中身見直しを始めた自治体もある一方、通知に強制力がないため、「3割」方針に従わない考えを表明している自治体もある。 総会後の共同代表による記者会見で西川福井県知事は、こうした返礼品の問題について「返礼品は制度の外にある話。総務省の通知も思うところは同じだと思う」、「ふるさと納税は納税者の数%しか使っていない。もっと広めるポテンシャルの方をメーンにおくことが大事で、基本に立ち返ることで(過剰な返礼品の問題は)解決すると思う」、「よい事例を探して、そういう方向にもっていく、一種の国民運動だ」と考えを述べた。 熊本地震を支援するため、ふるさと納税の代理申請を呼びかけた橋本境町長は「“ものくれ”合戦になりつつあった中、自治体連合をきっかけに、総務省の通知にそぐうようにやっていくと思っている。制度自体は悪者ではなく、地域を活性化させるツールとして非常によいもの。モデルとなるような自治体連合の27自治体がよい例を示すこと、また使い道を公表していくことが大事」と自治体連合の役割の意義を強調した。 また、竹中上士幌町長は、「今は返礼品が問題になっているが、最終的には納税がまちづくりにどう生かされているか、この評価が基準になっていく」、「今回の自治体連合によってこんなすばらしい成功事例があるということになり、発展していけば、地方が抱える人口減少の問題にふるさと納税が大きく寄与することになると思う」と活動の広がりに期待を寄せた。 自治体連合では今後他の自治体にも呼びかけ、早期に当面の目標である50団体の参加を達成したい考え。