【選手権】「静学の歴史上、同じ相手に絶対に負けられない」静岡学園が2-0で広島国際学院に勝利 長年の課題を克服しての価値ある快勝
12月29日、第103回全国高校サッカー選手権大会2日目が関東各会場で行われ、さいたま市にある浦和駒場スタジアムでは静岡学園(静岡)が2-0広島国際学院(広島)を破って2回戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】静岡学園 vs 広島国際学院 試合は前半17分、MF15佐々木雄基(2年)の浮き球のパスを受けたMF13 篠塚伶音(2年)がシュート。一度、相手GKにはじけれたものの、こぼれ球をしっかり押し込み、先制。 その後も引いて守る広島国際学院に対し安定した攻撃を見せた静岡学園は後半25分、左サイドを突破したDF14鵜澤浬(3年)のパスを受けたFW9乾皓洋(3年)が相手GKの動きを見ながら、流し込んで追加点をあげ、試合を決めた。 1回戦ながら、静岡学園は並々ならぬ気持ちでこのゲームに挑んだ。前回大会、静岡学園は2回戦で同じ広島国際学院と対戦。試合は後半9分に失点したものの、後半15分、同点に追いつき、逆転を狙ったが崩しきれずに結局PK戦で敗退。この悔しさを今回、雪辱を晴らした。 静岡学園・川口修監督は「静学の歴史上、同じ相手に絶対に負けられません。リベンジして昨年の負けをリセットする その気持ちで選手はやってくれました」と安どの表情を浮かべた。と同時に今回の勝利はこの1年の成長を感じさせるものだった。 課題である引いて守る相手の攻略が首尾よくできたからだ。 静岡学園が戦う高円宮杯U-18サッカーリーグ2024プレミアリーグWESTにはゴール前で堅く守るチームはなく、県大会予選は意図的に敷くチームはあっても、守り切れるだけの強度のあるチームはそうはないはず。不得手というより不慣れといったほうがいいかもしれない。 全国の舞台とあって広島国際学院の守備は、川口監督の言葉を借りれば、堅さと相手を誘導するうまさを兼ね備えていた守備と評するほど一筋縄ではいかない。 ただそうした相手にも静学イレブンはしっかり免疫があり、対応できていた。 「自分たちのサッカーができている自信があったのでたとえゴールが決まらなくても大丈夫という気持ちでプレーしていました」(FW9乾) 「点が取れなくても焦れずに攻めようと話しをしていたので先制できてよかったです。県大会でも同じようなチームはありましたが、引いてくる相手をどのように崩すかはチームで共有できていました」(MF13篠塚) そのなか、DF14鵜澤は3つの攻略法を明かした。中盤ふたりのインサイドハーフを使ってのワンツーからの展開。多くクロスを入れる。そして早い段階で相手の裏を取る。最後の『早い段階で相手の裏を取る』はDF14鵜澤自身、2点目のアシストにつながった。「たまたまかもしれませんが、あの一瞬、相手のDFラインが高かったので、ここで裏が取れるなと思いました」そのスキを見逃さなかった、DF14 鵜澤の判断。相手も虚を突かれたのか、後手を踏み、静岡学園としては難なくあっさり決められた感がある。 前だけではない。後ろも踏ん張った。「このまま(追加点が)入らないとまずいだろうなと感じる一方、ここで1点返されたら、昨年と同じような展開になってしまいます。これではどうしようもないので何が何でも身体を張って守っていました」とDF4岩田琉唯(3年)が話したよう、相手のカウンターの芽をことごとく摘み、広島国際学院のシュートを2本に抑えた。 反省と課題を活かし、1年越しのリベンジを果たした静岡学園。しかし川口監督はショートパスとドリブルの少なさ。特に前半、ロングボールばかりになったこと。そして、ペナルティエリア内のシュートの精度と物足りなさを語っていたのは、それだけ伸びしろのある証拠なのだろう。2回戦に進んだ静岡学園は12月31日、浦和駒場スタジアムで高知(高知)と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)