終盤に2得点し、起死回生の逆転劇!市船が技巧派軍団・中央学院を振り切る
総体出場を目指す市立船橋が、ドラマチックな逆転劇を演じた。 県内随一の技巧派軍団である中央学院に1点のリードを許したまま、刻一刻とタイムアップが近づく。まずは同点に追いつくべく、左右のスペースを使って、相手を揺さぶる市船の攻撃が、77分に結実した。殊勲のゴールスコアラーは、CB5岡部タリクカナイ颯斗(3年)だ。キャプテンの一撃がチームを土壇場から救った。 【フォトギャラリー】中央学院 vs市立船橋 ペナルティエリアの外で、ボールを受けた岡部は、相手をかわすと、迷わず足を振り抜く。目の覚めるようなミドルシュートが、中央学院のゴール右上に突き刺さった。満面の笑みを浮かべる岡部は、試合後、こう振り返っていた。 「狙いすましたというより、“枠に入ればいいかな”くらいの感覚で打ちました。それがかえってよかったのかもしれません。リラックスして打てましたから。相手のテクニックやパスワークに苦しみましたけど、最後まであきらめず、粘り強く戦ったことが結果につながりました」 勢いづく市船は、なおも攻撃の手を緩めず、同点ゴールから6分後の80+3分、ついに試合をひっくり返す。左サイドから切れ込んだ交代出場のFW23勝又悠月(1年)が、相手GKの出鼻をかすめるように起死回生の逆転弾。試合を見守っていたチームメイトたちもコーナー付近に押し寄せ、瞬く間に歓喜の輪が広がった。 「先制されましたが、自分たちのストロングポイントである競り合いの強さや背後へのボールを、もう一度、徹底しようと伝えました。この試合にかける選手たちの思いであったり、勝負どころでの集中力であったり、いろいろな感情が逆転の原動力になったのではないかと感じます」(市船・波多秀吾監督) 立ち上がりからボールを握り、試合を優勢に運んでいたのは中央学院だった。しかも31分、攻撃のかなめであるMF10手塚柑汰(3年)が利き足の左足で鮮やかに決め、先制。打倒・市船まで、あと一息に迫った。だが、終盤に立て続けに2失点し、万事休す。 準決勝進出を果たした市船は、6月12日、進境著しい東京学館と相まみえる。「厳しい戦いになると思います。いい準備をして臨みたいです」と、波多監督に“油断”の二文字は見当たらない。 (文・写真=小室功)