[山口県]中尾彬さん所蔵の香月泰男作品寄贈 妻の池波志乃さん、長門の美術館に
長門市は、5月に逝去した俳優、中尾彬さんが生前に所蔵していた同市出身の洋画家、香月泰男(1911~74年)の作品を受贈した。手続きを進めた中尾さんの妻で俳優の池波志乃さんが同市三隅中の香月泰男美術館で多くの人に見てもらえるよう期待している。 中尾さんは大学で美術を専攻し、フランス・パリに留学。帰国後に劇団に入団して1964年に映画デビューし、幅広い役柄を演じる俳優として活躍する傍ら、絵画や陶芸などの創作活動も行っていた。好きな画家の一人に香月を挙げており、昨年10月の同美術館開館30周年記念に合わせたトークショーでは香月の魅力を語っていた。 今回寄贈されたのは香月が初めて渡欧した1956、57年に描いたスケッチを基にした石版画集「巴里の屋根」やイチジクが描かれた萩焼の陶板画など全12点。中尾さんは額装にもこだわっており、一部は亡くなる直前まで自宅リビングなどに飾って大事にしていた。中尾さんは池波さんに同美術館に寄贈したい考えを伝えていたという。 17日に同美術館で受贈式があり、池波さんは「夫婦で来られなかったのが残念だが、納まるところに納まってすごくほっとしている」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。江原達也市長は「長門市の宝としてしっかりと展示、保管させてもらって後世に残したい」と力を込めた。 同美術館では来年1月13日まで「中尾彬コレクション受贈作品展」と題して今回の作品を展示している。午前9時~午後5時。入館は同4時半まで。休館は毎週火曜と年末年始。観覧料は一般500円、小中高生200円、未就学児無料。問い合わせは同美術館(電話0837・43・2500)へ。