ウクライナ東部で爆発…ロシアがICBM“実戦使用”か “核弾頭”搭載せず発射の意図は
なぜ今回、ICBMの使用に踏み切ったのか。そもそもICBMは、大気圏のはるか上まで打ち上げられた後、放物線を描き、大気圏外から高速で落下してくるミサイル。その名の通り、大陸を飛び越えて数千キロ離れた敵を攻撃する兵器です。 今回、1000キロ先の標的に使われたとみられていて、わざわざICBMを使う必要はないはず。ならば考えるべきは、そこに込められたメッセージかもしれません。タイミングとしては、ロシアが「核兵器使用のハードル」を引き下げた直後です。 ラブロフ外相(19日) 「きょう、核ドクトリンが公式に発表された。プーチン大統領が1カ月あまり前から公言したことが法的に確定した」 この発言の後、イギリスが供与した長射程のミサイル『ストームシャドー』もロシア領土に初めて使われたとみられます。すでに、アメリカ供与の『ATACMS』もロシアに向けて使われているとみられるなか、ロシアが威嚇の度合いを強めた可能性があります。 軍事アナリスト マルコム・デイビス氏 「ストームシャドーやATACMSの使用は『ロシアの重要な国益を脅かしている』というメッセージを西側に送ろうとしている。西側に引き下がるよう威嚇を試みているのです。西側が引き下がれば、ロシアは延々と威嚇を続けるでしょう。我々は断固たる態度でパニックにならないことが重要です」 ただ、CNNは、西側当局者が「使用されたのはICBMではない」と話していて、なぜウクライナ側と食い違いが出るのか分からないとも報じています。
ロシア側の狙いについて、防衛省防衛研究所・長谷川雄之主任研究官に聞きました。 防衛省防衛研究所 長谷川雄之主任研究官 「“核を積んで欧米を狙える”というメッセージではないか。特にアメリカがATACMS=長射程のミサイルの使用許可を出したことをロシアはかなり嫌がっていた。対抗して『核ドクトリン』を改定し、核使用のハードルを下げた。今回の発射で『口だけではない』『実際に核を使うぞ』というアメリカをはじめとするNATO諸国への揺さぶりとみられる」 防衛省防衛研究所 長谷川雄之主任研究官 「プーチン大統領は国内の強硬派から『弱腰』との批判も出ている。ICBMの発射は、強硬派へ配慮し、世論をコントロールする狙いもあるのではないか」 (Q.今回、ICBMを発射したとみられるロシアですが、実際に核使用の危機は高まっていると考えるべきですか) 防衛省防衛研究所 長谷川雄之主任研究官 「ロシアが切れるカードは少なくなり、より危機は迫っているが、実際の核使用となるとハードルまだ高い。ロシアとしては、トランプ次期大統領を意識して、今のうちにアメリカに強い姿勢を見せておきたいのではないか。当面、ロシアは戦略核の演習を活発化させ、政府要人が核使用の発言を強めるなど、核にまつわる脅しをさらに強める可能性がある」
テレビ朝日