「生徒の内申書はAIで一発…だと!」モラルなき教師の濫用。「AI文書作成ツール」がもたらす「学校教育の寒々しい未来」
理系の教師がヘビーユース。AIを濫用する教師たち。
生成AIで制作された「ブラックジャック」が発表され、ChatGPTを開発し生成AIブームをつくりだしたアメリカのベンチャー企業「OpenAI」では、サム・アルトマンCEOが突如、取締役会から解任され、たった5日後に復帰を果たした。 自由恋愛なのに犯罪臭、「商売道具に手を出すな」と両親も激怒。初恋の先生と結婚した25歳の新妻が「いま後悔していること」
進化と混乱。まさにそう言った様相を呈している生成AIが実は、教育現場でも混乱を巻き起こしている。利用しているのは、当初懸念されていたような学生たちではない。 「宿題や課題を生成AIにやってもらうのではないか」などと言われていたが、高校までの教育現場では、学生たちに与えられる課題の多くに明確な答えがあり、生成AIで何かを生成する必要がないのだ。 それに、「結構使いづらい」というのが、多くの高校生たち意が口にした感想だった。 「キーワードみたいなやつが1つだけだと、文章を作ってくれないし、いろいろ入れても変な文章になるし」 そう話す高校生は割と多くいた。 「生成AIに作ってもらった文章を提出したら先生に直されたしね」 そう言って笑う高校生もいた。では、誰が使っているというのか。答えは、教員だ。
「いやー、いい時代になりましたよね。生徒の志望理由書を添削するという業務や、生徒の推薦書を何通も何通も作る業務が、どれほどきつかったか」 せいせいしたという表情でそう語るのは、丈一郎さん(仮名)32歳だ。 関西圏にある私立高校で化学を教え、現在、高校三年生の担任を持っている彼は、何度も「受験生」の担任を経験し、そのたびに不得意な「文章作成」に悩まされてきた。 「俺は、本当に純粋な理系なんですよ。文章を書くのなんて苦手。自分の大学入試の時には、共通テストでマーク形式だったんでどうにか乗り切りましたけど、国語は昔から苦手だし。まさか、高校の化学の先生になって、国語で悩むことになるとは思いませんでしたよ」 そういって眉間にしわを寄せる彼の悩みは、思いもしない方向から解決されたのだ。 「私は幼い頃から文学に魅了され、その魅力に取り憑かれてきました。特に、人間の心の奥底に触れるような作品には深い感動を覚え、文学を通じて自分自身を表現することの重要性を感じてきました。早稲田大学文学部は、そのような深い感情を持つ作品や文学について学び、表現する場所として、私にとって理想的な環境だと感じています」 実はこれ、生成AIが作成した、早稲田大学文学部を志望する生徒の志望理由書。 作成したのは、「SAKUBUN」という生成AIだ。この教師がヘビーユースしているAIにリスクはないのか?【後編】へと続く。 取材・文/八幡那由多