フィギュアスケートのルール改正が浅田真央の進退に与える影響
男子フリーの競技時間が短縮される?
浅田真央と羽生結弦のアベック金メダルに沸いた世界選手権が閉幕した。これにて今シーズンのフィギュアスケートの公式戦はすべて終了した。 今年は2年に一度の大幅なルール改正が行われる年であり、6月ごろに開催される国際スケート連盟(ISU)総会での決定が大いに注目される。選手にとっては来シーズン、あるいは2018年平昌五輪に向けてのプログラムの方向性を決める重要な決定だからだ。 ISUでは2014/2015シーズンからの変更点について、すでに2012年6月の総会で決めていたものもある。その一つは、男女シングル、ペアの音楽が、アイスダンスと同じく、歌声の入った曲もOKとなること。これについては、町田樹が大きな関心を示し、「僕はそのルール改正を巧みに利用して、今のフィギュア界にない作品を作ろうと考えている。すでに構想はある」と話している。選手はルール改正には非常に敏感なのだ。 また、次回のISU総会では、ショートプログラム(SP)の廃止と、男子フリーの時間短縮も検討されるだろうと予想されている。男子フリーは4分30秒。女子の4分と比べて30秒長いため、テレビ放映に要する時間が女子に比べて長くなってしまうのが悩みだった。短くすることによって、テレビ放映に収めやすいというメリットが出てくる。また、SPを廃止すればシニアとジュニアの同時開催が可能になるというメリットがあるという。
3回転ジャンプへのボーナス得点
このようにさまざまな議論が予想される中、選手サイドからの観点で最も注目されるのは、なんと言っても採点方法だ。関係者によると、ここで新しい提案として持ち上がっているとされているのが、3回転ジャンプの種類を増やした場合の「ボーナス得点」である。 ジャンプの種類の多さがボーナス得点につながるとなった場合、最も恩恵を受けるのは浅田だろう。代名詞でもあるトリプルアクセルは女子では浅田だけが跳べる伝家の宝刀。すでにフリーでは女子選手で史上初のエイトトリプル(3回転6種類を含む、計8度の3回転ジャンプ)を取り入れている浅田にとって、現状のままで得点が上がることになるのだ。 そもそもトリプルアクセルの基礎点8.50点は、難度の高さや希少性を考えれば、コンビネーションジャンプの基礎点(例えば3回転ルッツ―3回転トゥーループの基礎点は10.10点)と比較した場合、低すぎるのではないかという声が多かった。リスクが高いのに割に合わないということで挑戦する選手そのもがいないということなのだ。