「古墳の上から」初日の出、年々人気に 長野・千曲市の森将軍塚古墳
1600年前の古墳のてっぺんで初日の出――。長野県千曲市の国指定史跡「森将軍塚(もりしょうぐんづか)古墳」で毎年元日に行われている「森将軍塚で初日の出を拝むつどい」が年明けの2018年に26回目を迎え、1000人近い県内外の参加者でにぎわいそうです。小高い山の上に築造された古墳は眺めが良く、歴史遺産とともに新年を迎える心持ちが人気を呼んでいるようです。
1月1日午前7時15分から「つどい」
森将軍塚古墳は千曲市の大穴山にある4世紀ごろ築造の前方後円墳で、全長約100メートルと県内では大規模。周辺にある古墳も含め、埴輪(はにわ)や直刀、剣、よろい、鉄製品などが出土。大和政権とも強いつながりを持った有力者の墓とされています。 ふもとには古墳時代中ごろの竪穴住居や高床倉庫、田畑などが確認され、当時の暮らしを伝えています。 発掘調査に基づき正確に復元した古墳は、無数の石に覆われ、多くの埴輪に囲まれた姿が壮大。善光寺平や雪に輝く北アルプス、足元の千曲川を一望できる高所にあるため訪れる人も多く、元日のつどいのきっかけにもなりました。
「森将軍塚で初日の出を拝むつどい」は地元の実行委員会の主催。例年400~500人が参加しますが、「好天に恵まれると800人以上も集まる」(実行委)。地元に限らず新潟、名古屋など県外から車で訪れる人もいます。 来年1月1日は午前7時15分から8時まで現地で開催します。当日は誰でも参加自由で、お神酒やジュースを振る舞ったり、抽選会も予定。古墳の最上部で新年を迎える体験に喜ぶ人も多く、「特別の気持ちで初日の出を拝みました」と話す人もいます。 実行委の代表を務める宮下紘一さん(75)は、「歴史と風土を生かしたイベントで、毎年楽しみです。森将軍塚古墳はその規模からいわば当時の長野県の知事、トップの墓とも言えますから、元日に臨む場所としては感慨深いですね」と話しています。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説