余震続く「熊本地震」 震源はどのように広がっていったのか?
内陸地震の後に噴火誘発の例はないが……
九州の内陸で起きた地震で過去最大として知られているのは、1911年に起きたM7.1の桜島地震です。ただ、これは大正の桜島噴火に伴ったものなのでやや他の地震と性格が異なるものです。沿岸部に起きたものとしては、2005年のM7.0福岡県西方沖地震です。 すると、今回の熊本地震は、過去最大の「内陸地震」であったわけです。図3に過去の震央や震源断層を一緒に示しました。これを見ると九州内陸直下でM7を超える地震は今回が初めてです。 この地震によって火山噴火が誘発されることを心配される方もおられますが、これまでの九州内陸地震の直後に火山噴火が誘発されたことはほとんどありません。例外的に1922年12月8日M6.9橘湾の地震の約1か月後に阿蘇山の噴火が起きたことがあるくらいです。 ただ、今回の地震は、内陸で過去最大のマグニチュードの地震であったことと、震源断層が阿蘇の外輪山まで達しており、これほど火山の近くで大きな地震が起きた例は少ないので、その影響ははっきりと分からないところもあります。
------------------------------------ ■石川有三(いしかわ・ゆうぞう) 京都大学理学研究科博士課程中退、中国地震局地球物理研究所に1年留学、気象庁入庁後、気象研究所地震火山研究部主任研究官、研究室長、精密地震観測室長、地磁気観測所長を歴任。1990年運輸大臣賞受賞。現在は、国立研究開発法人産業技術総合研究所活断層・火山研究部門招聘研究員。静岡大学防災総合センター客員教授も兼務。専門は、地震学・地震予知