380年の伝統を誇る佐賀「神埼そうめん」 機械そうめん発祥の地
国内旅行でも人気の高い九州地方。中でも福岡、長崎は観光客が多く訪れるエリアだ。その両県に挟まれた佐賀県だが、かつて“文明ロード”と言われた長崎街道に沿って多くの宿場を有し、古くは弥生時代からの遺跡も残っている。日本の国の成り立ちをうかがわせるそんな歴史のあるまち、佐賀の神埼を訪ねた。
380年の伝統を誇る「神埼そうめん」。脊振山(せふりさん)系からの良質な水と佐賀平野が育てた上質な小麦、まさに自然に恵まれた土地ならではの産物である。また、城原(じょうばる)川の水流をもとに発展した水車が後押し、一時は300軒ほどの製麺所があったという。 現在は市内に15軒ほどになってしまったが、今なおその製麺技術は受け継がれている。発祥は、諸国を行脚していた僧侶がここ神埼に手延そうめんの製法を伝えたのが始まりだという。 神埼は機械そうめんの発祥の地でもある。製麺機ができたことにより、ノンオイルの麺ができるようになった。そのため、小麦の香りと旨味がしっかり味わえるようになったそうだ。“シャキシャキ”と例えられるコシの強さとのど越しの良さが神埼そうめんの特徴だ。 市内で製麺所を営む井上義博さんに話を伺った。「地元に住んでいると、これが当たり前だと思っていたが、川も山もあり、水もきれい、農産物も豊富。改めて思うとすごいところに住んでいるんだなと思いますよ」と神埼のまちに対する思いを語ってくれた。 そんな井上さんも、製麺所を引き継ぎ五代目。伝統の麺作りを守りつつ、古代米をブレンドした新作など、現在のニーズにあった商品開発にも力を注いでいた。 (2017年3月撮影)