超貴重なデ・トマソ「ヴァレルンガ」が約2880万円で落札…相場よりもかなり安かった理由はスーチャー付きの魔改造のせい!?
レストア&モディファイ後の走行距離は約4000キロ
しかし、レストアおよびモディファイの完成からの走行距離は、わずか約4000km。次のオーナーに、エキサイティングなドライビングの機会を提供するためのレストアだったかにさえ映る。加えて、今回の出品に際してはスペインの抹消登録書類が付属しているとのことであった。 この、デ・トマソ的にミステリアスなヴァレルンガに、ボナムズ社では25万ユーロ~35万ユーロという、かなり強気のエスティメート(推定落札価格)を設定した。さらに今回のオークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるという前提条件にしたがって、この個体も「リザーヴなし」で出品されることになった。 この「リザーヴなし」という出品スタイルは、とくに対面型オークションでは確実に落札されることから会場の空気が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまう落とし穴もある。 そして2024年6月18日14時14分(現地時間)に入札締め切りとなった競売では、会場での盛り上がりに期待できないオンライン型オークションのデメリットが発露してしまったようで、終わってみればエスティメート下限を大幅に下回る16万8560ユーロ、現在のレートで日本円に換算すれば約2880万円で落札されることになったのだ。 ヴァレルンガは生産台数が少ないながらも時おり国際マーケットに姿を見せるのだが、モータースポーツでの大戦果がないにもかかわらず、近年では30万ユーロ前後というかなりの高価格での取り引きが多いようだ。 そんな状況下にあって、今回の比較的安価なハンマープライスは、この個体に施された改造が、オリジナル主義の支配する現在のマーケットにとっては好ましいものではないと判断された結果とも思われる。
武田公実(TAKEDA Hiromi)