「守りの賭けには興味がない」シュワルツェネッガーの10億ドル資産形成戦略
ついに資産額10億ドルを超えた世界的な映画スターの「シュワちゃん」。だが彼を富豪にしたのは映画の稼ぎよりも、堅実な資産運用だった。 ハリウッド俳優アーノルド・シュワルツェネッガー(77)のようなドラマチックな人生は、映画でもなかなか見られないのではないか。 オーストリアにある小さな村の貧しい家庭に生まれた彼は成長すると、父親がナチ党員であったことを知る。1968年、流暢とはいえない英語力と、わずかな所持金で渡米。ボディビルダーとして4度ミスター・ユニバースの栄冠に輝いたのち、映画『ターミネーター』『キンダガートン・コップ』などのヒット作を連発。俳優として世界的な成功を収め、2003年には第38代米カリフォルニア州知事に当選している──。その過程で彼は、自身の名声を富に変えることもできたのだ。米フォーブスの推計によれば、彼の現在の資産は10億ドルに上る。 シュワルツェネッガーは、米フォーブスが世界の億万長者を順位づけした「ビリオネア・ランキング2024」にランクインしているが、彼が異彩を放つのは賢明な資産形成でビリオネアになったからだ。 ボディビルダーとして稼いだ賞金で不動産事業に投資し、主要な映画出演を果たす前の1970年代に億万長者になっていたという。俳優業でも優れたビジネス手腕を発揮している。ダニー・デヴィートと共演した1988年のコメディ映画『ツインズ』では、不発に終わることを危惧した製作スタジオを説得するため、高額の出演ギャランティを辞退し、代わりに興行収入の20%近くを得る契約を結んでいる。映画は大ヒットし、シュワルツェネッガーは3500万ドル以上を手にした。 また、投資会社メイン・ストリート・アドバイザーズの創業顧客として、スターバックスやグーグルなどの未公開株や株式にも出資。1996年には、未上場だった投資会社ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズの株式5%弱を入手。同社は7180億ドルの資産を誇るまでに成長している。 シュワルツェネッガーをよく知る人々は、彼が経済的に成功した最大の理由の一つに、「常に健全なリスク志向をもっていた」点を挙げる。実際、自著『トータル・リコール』(未邦訳)でもこう自己分析してみせる。「私は、面白く、創造的で、ほかとは違う大きな投資を望んでいた。年率4%のような、守りに入った賭けには興味がなかったんだ」 アーノルド・シュワルツェネッガー◎『コマンドー』『ターミネーター2』などのヒット作を誇るハリウッド俳優。若い頃に不動産投資で成功したから、キャリアを見据えた作品選びができた、と語っている。暗号資産に投資しない理由に、州知事時代に経済顧問を務めてもらった“投資の神様”を挙げる。「ウォーレン・バフェットと同じで、よく理解できないものには投資しないんだ」
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