【最新】年金だけで生活する高齢者は何割?「年金生活者支援給付金制度」をおさらい
2ヶ月に1回、偶数月に支給される公的年金。次回の支給は8月15日(木)が予定されています。そして、年金と同じタイミングで別途支払われるのが「年金生活者支援給付金」です。 ◆【写真5枚】高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める世帯数の構成割合。2枚目以降では、年金生活者支援給付金の支給モデルなどを掲載 「年金生活者支援給付金」とは、年金額や収入額が一定以下の方を対象に支給されるもの。公的年金だけで生活する世帯にとっては役立っていることでしょう。 しかし、その要件や対象者は公的年金ほどには知られていないようです。 今回は、2024年7月に公表された「国民生活基礎調査の概況」から年金世帯の収入状況を確認して「年金生活者支援給付金」の要件をおさらいしていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
公的年金だけで暮らす高齢者世帯は半数以下…老後の生活を考えるための収入
2024年7月5日、厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査の概況」にて年金生活者の収入状況を見ると、全世帯の41.7%が公的年金のみで生活する状況がわかります。 公的年金の額は個人の働き方や給与などの額によって異なります。 公的年金だけで生活ができる方もいれば、老後も働く方、個人年金や退職金、預貯金を取り崩しながら生活されている方もいることでしょう。 年金だけで生活できないから「働きたい」と思っても、体調やメンタル面の不安から働けない方もいらっしゃいます。 収入を増やせない、年金額を増やせない場合でも要件をクリアすれば支援給付金として受け取ることができる制度があります。それが「年金生活者支援給付金」です。 次の章から、詳しく収入目安や給付額モデルなどをみていきましょう。
「年金生活者支援給付金」が給付される高齢者とは?
最近では物価の上昇が凄まじく、モノの値段が急激に上がっており、年金生活者でなくても生活するのが大変にはなっていますが、年金生活者の方が利用できる支援給付金について、再度確認しましょう。 これは、公的年金などの収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方の生活支援を図ることを目的として、公的年金に上乗せして受け取ることができるものです(特に注意書きがないものを除いては、2024年4月現在の金額です)。 公的年金の支給事由によって要件や金額が違います。 ●老齢基礎年金の支給対象者は「老齢年金生活者支援給付金」の区分 3つの支給要件の全てを満たしていれば、受給対象となります。 ・65歳以上の老齢基礎年金の受給者 ・同一世帯の全員が市町村民税非課税 ・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が87万8900円以下 ※合計が77万8900円を超え87万8900円以下の場合には支給金が調整され、補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます) 給付額は、以下の合計額です。 (1)保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数(最大480月) (2)保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数(最大480月) 例として、1956年4月2日以後生まれの方のケースをみていきましょう。 被保険者月数480月のうち、納付月数が480ヶ月、全額免除月数がない場合 (1)保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 480月 / 480月 = 5310円 (2)保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円 × 0月 / 480月 = 0円 (1)+(2) = 5310円となり、公的年金の金額に上乗せとなります。 次の章では「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」について解説します。 ●障害基礎年金の対象者は「障害年金生活者支援給付金」の区分 以下、2つの支給要件の全てを満たしていれば、受給対象となります。 ・障害基礎年金の受給者 ・前年の所得が472万1000円以下 ※障害基礎年金や障害厚生年金は非課税のため、所得には含みません。 給付額は、以下の合計額です。 (1)障害等級2級の方(月額)5310円 (2)障害等級1級の方(月額)6638円 ●遺族基礎年金の対象者は「遺族年金生活者支援給付金」の区分 以下、2つの支給要件の全てを満たしていれば、受給対象となります。 ・遺族基礎年金の受給者 ・前年の所得が472万1000円以下 ※遺族基礎年金や遺族厚生年金などは非課税収入のため、含みません。 給付額は、月額5310円または6638円。2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、月額を子の数で割った金額がそれぞれで受け取ることとなります。 遺族基礎年金を受給している3人の子が受給するケースをみていきましょう。 遺族基礎年金を受給している3人の子が受給する場合 5310円を3人で割った金額となり、5310円 ÷ 3人 = 1770円となります。 計算した結果、50銭未満の端数が生じた場合は切り捨てて、50銭以上1円未満の端数が生じた場合は1円に切り上げられるので注意が必要です。