都知事選の争点「少子化対策」が厄介な理由、他県との格差拡大で“東京一極集中”がますます加速する皮肉な事態も
■ 子育て負担軽減策が有効なのは間違いないが… そうなるとおのずと必要な対策が見えてくる。 保育費や学費に代表される無償化という名の子育て支援策も必要には違いないが、それよりも子育て世代の生活コスト低減につながる政策が急務のはずだ。トータルで見れば収入増につながる雇用政策、非正規雇用から正規雇用への転換、中小・零細企業の賃上げなど、国とも連携して進めるべき施策の数々だ。 次いで住宅コストをはじめとする生活関連コスト低減につながる施策である。 例えば、賃貸物件の賃料負担をどう軽減するか。外国人富裕層などを対象にした投資対象マンションへの規制を強化することで、マンション価格の高騰を抑え、住宅市場の沈静化を図るぐらいの事は最低限でもすべきだろう。 子育て関連出費への支援策が有効なのは言うまでもない。スウェーデン並みの予算がある東京都は財政基盤も盤石だ。子育て支援関連の予算付けは何の問題もないだろう。
■ すでにたくさんある少子化対策メニューが機能していない 実は東京都の少子化対策は、そのメニューを見る限り他の自治体には真似ができないほど充実している。主だった内容は次の通りである。 【出会い・結婚】 東京都結婚支援ポータルサイト TOKYOふたり結婚応援パスポート 【妊娠・出産】 不妊・不育の助成金情報 妊娠支援ポータルサイト東京都妊活課 凍結卵子を活用した生殖補助医療への支援 【子育て期の支援】 018サポート 東京都出産・子育て応援事業 幼児教育・保育の無償化について 義務教育就学児医療費助成制度 【教育・住宅】 私立学校保護者負担軽減 東京都立学校等給付型奨学金制度 結婚予定者のための都営住宅の提供 都営住宅における子育て支援 都立大学等の新たな授業料減免制度~都内子育て世帯への新たな支援を実施(授業料実質無償化)~ 【就労環境・職場環境】 働くパパママ育業応援事業 正規雇用等転換安定化支援事業(東京都正規雇用等転換安定化支援助成金) 女性向けキャリアチェンジ支援事業 まだまだあるが紹介しきれない。これだけのメニューがありながら少子化が進行しているのはなぜか。都庁のお役人や知事候補者はよく考えた方がいい。メニューがいかに豊富でもそれが機能していなければまったく意味がない。そこへさらに新たなメニューを加えて東京の少子化対策を図ろうとしているのが現状である。