「シーズン3は“完璧”」世界中で話題沸騰のドラマシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」キャスト陣が語り合う、最高のチームワーク
昨年の第75回プライムタイム・エミー賞でコメディシリーズ部門の作品賞など10冠を達成、今年の7月17日にノミネートが発表された第76回プライムタイム・エミー賞では、コメディ作品として史上最多となる19部門23ノミネートを獲得した「一流シェフのファミリーレストラン」。そのシーズン3が、現在「ディズニープラス」の「スター」にて独占配信中だ。 【写真を見る】エミー賞10冠の次は、コメディ史上最多の23ノミネートを獲得!『一流シェフのファミリーレストラン』 ニューヨークの一流レストランで働く新進気鋭のシェフであるカーミー(ジェレミー・アレン・ホワイト)が、兄の死をきっかけに地元シカゴに戻り、彼が遺した借金まみれのサンドイッチ店の再建を目指したシーズン1。続くシーズン2では、そのサンドイッチ店をレストランへとリニューアルするために動きだし、シーズン3ではいよいよ新しいレストラン「ザ・ベアー」をオープンさせる様子が描かれていく。 そんな本作から、メインキャスト陣が勢ぞろいした会見形式のインタビューが到着。参加したのはカーミー役のホワイトを筆頭に、リッチー役のエボン・モス・バクラック、シドニー役のアヨ・エデビリ、マーカス役のライオネル・ボイス、ティナ役のライザ・コロン=ザヤス、ナタリー役のアビー・エリオット、ニール・ファク役のマティ・マシスン、テッド・ファク役のリッキー・スタフィエリの8名。世界中でいま飛ぶ鳥を落とす勢いの彼らの、チームワークの良さがわかるやり取りをお届けしていこう。 ■「悲しみのなかに笑いを見つける方法がすべて詰まっている」(エボン・モス=バクラック) ――本作のテーマのひとつでもある“悲しみ”について、今シーズンでその精算はあるのでしょうか?また、それはレストラン全体にどのような意味をもたらすのでしょうか? モス=バクラック「それはこの番組の長所と言えるものでしょう。多くの人々の共感を呼ぶ理由のひとつは、悲しみとは僕たち皆を流れる川だと思うからです。人間の経験のなかで、唯一共通していることともいえる。なのでそれは今シーズンでも続いていて、誰もがそれぞれの方法で対処したり、または対処しないという選択肢がとられていきます」 エデビリ「多くの登場人物たちは、抱えている悲しみにそれぞれの方法で向き合っています。今シーズンも、皆がそれに対処していく過程のなかにあると思います」 エリオット「例えばナタリーは、母親になろうとしている。兄が恐ろしい死を遂げたという事実に直面し、母親や弟との関係も良くない。だから彼女は悲しみを経験し向き合うことで、前進しようとするのです」 ――シリーズのなかには時折“暗さ”が訪れる瞬間があります。撮影後にそれをどのように振り払っているのでしょうか? ホワイト「僕たちの撮影現場はとても楽しい場所なんです。皆が互いを大切に思っている。例えば朝に暗いシーンを撮っても、2時間もすれば笑い合って楽しむことができる。僕にとっては家に悲しみを持ち帰ることは不可能に近いことです」 エデビリ「暗い瞬間もありますが、同時にとても明るく、とても美しい瞬間もある。だから家に持ち帰るならば、そちらのほうを多く持ち帰るようにしています」 モス=バクラック「そうですね。悲しみのなかに笑いを見つけるんです。このドラマにはその方法がすべて詰まっています。それに撮影中はとても激しいものだから、重苦しいままではエネルギーが尽きてしまう。そういう時は一旦休んでから撮影に戻り、また続けていくんです」 ■「監督することができて感動でいっぱい」(アヨ・エデビリ) ――エボンに質問です。前シーズンでリッチーが別のレストランで働いたことは、彼にとってどのような影響があったのでしょうか? モス=バクラック「リッチーは多分、別のレストランでより進化したあり方に触れたのだと思います。そして彼が向かうべき道が見えてきた。でも道が見えることと、それを歩むのは別のこと。個人的な成長と同じように、前進と後退を繰り返すもので、明確で一方向の道というものはないのです」 ――エグゼクティブ・プロデューサーも務めているマティに質問です。番組のメニュー作りの裏側について教えてください。 マシスン「はい、劇中のメニューはプロデューサーのコートニー・ストーラーが中心に立って開発をしています。僕は彼女や彼女のチームと一緒に、カーミーとシドニーがどのような人物で、なにを考え、どのように料理を作り、それを通して自分たちをどうやって表現するのかとアイデアを出し合っています。全体的に言えば、美しく思慮深い料理を作り、限界に挑戦することに重きを置いているという感じです」 ――昨シーズンではシカゴのレストランがたくさん登場しましたが、今シーズンでもシカゴのフードシーンがたくさん登場するのでしょうか? マシスン「僕たちはシカゴが大好きです。だからシカゴのすばらしいところをたくさん見せて、ポジティブな形で光を当てていきたい」 エデビリ「多くのレストランやそこで働く人たちが、私たちの番組作りにとても貢献してくれています。シカゴのすばらしい場所からシェフが来てくれて、私たちを助けてくれたり、彼らの場所を貸してくれたり。私たちは皆とても感謝しています」 モス=バクラック「番組にとってとても大切なことです。シカゴのレストランこそ、この番組の生命線の一部。今シーズンは、僕たちがストーリーを語るうえでシカゴのレストランがいかに重要であるかをあらわしていると思います」 ――シーズン3の第6話で監督を務めたアヨにお聞きします。自らエピソードを監督するのはどのような経験でしたか? エデビリ「とても最高でした!俳優として仕事ができるだけで夢のようなのに、その延長線上で監督をすることもできて、毎日が感動でいっぱいでした。世界で最も好きな俳優たちを監督することは、最高に幸運で贈り物のような経験です。俳優をするのと同じくらい、世界最高の仕事なんじゃないかと感じました」 ――監督するエピソードは自分で選んだのでしょうか? エデビリ「クリエイターのクリストファー・ストーラーやプロデューサーたちのなかでは、どのエピソードを誰が監督するのかあらかじめ決まっていたと思います。私は幸運にも、俳優として事前に全部のエピソードを読むことができ、クリス(トファー)からどの脚本が良いか訊ねられました。『もしライザのエピソードをやれるならば…』と私が言うと、彼は『同じことを考えていた』と言ってくれました」 ■「最も良かったことは、最高のキャスト、スタッフに出会えたこと」(ライザ・コロン=ザヤス) ――この作品を経験したことで、皆さんがとお客としてレストランに行く際に変化したことはありますか? エリオット「ありました。私には小さな子どもが2人いるのですが、レストランに行くといつも後始末のことばかり考えてしまいます。子どもたちが床になにかを落としたりすると、ここで働いている人たちがどれだけ大変かを知っているからストレスを感じてしまいます」 エデビリ「その感覚は大事なことだと思いますよ。私はいつも一緒にお皿を片付けています。でも『やめてください』って目で見られてしまう(笑)」 ホワイト「お客さんにはリラックスしてほしいんですよ」 エデビリ「ほとんど反射的に体が動いてしまうんです。そのたびに本当にごめんなさいって思いながら(笑)」 コロン=ザヤス「私はキッチンを覗き見するようになりました。そこでのエネルギーやカオスがどんなふうなのかを見てみたくて」 ホワイト「僕たち皆が多分そういうことにもっと興味があるんだと思います。たぶんレストランというものに対して過敏になっているのかもしれません(笑)」 ――このドラマは世界中で社会現象になりました。個人的な面でも仕事の面でも、本作に携わって最も良かったと思えることは? コロン=ザヤス「ここにいる人たちに出会えたことです」 ボイス「僕もそれを言おうと思っていました」 エリオット「なんと言ってもこのキャストです」 コロン=ザヤス「最高のキャストに最高の脚本家とクリエイター、スタッフたち。本当に優しさにあふれていて、みなさんのことが大好きですし、自分たちがやっていることもまた大好きなんです」 ホワイト「数週間前に撮影が終わったのですが、現場から離れるのがとても辛いことでした。自分たちの生活をとても大切にしているけれど、みんなで少しでも長く一緒にいられることも特別なんです」 ――このシリーズを続けていくうえで心掛けていることは? エデビリ「お互いに親切にすることですね(笑)。それと、きちんとセリフを覚えること」 ホワイト「あと現場に来ることと、準備することと、時間を守ることです」 エリオット「時間通りに現場に来るのはとても大事です」 エデビリ「あと水分補給も忘れないようにね(笑)」 エリオット「ビタミンCを摂ることもね」 一同「(笑)」 ――最後に、シーズン3を一言で表現すると? スタフィエリ「“高揚感”だね」 エリオット「それと、“完璧”」 ホワイト「あとは“挑戦”かな」 マシスン「“ばか騒ぎ”もありますね(笑)」 構成・文/久保田 和馬