自分の発音が嫌いだから、英語を使いたくない…。伝わる発音が育つ練習法「聴き音読」を紹介。ジョブズやアインシュタインの言葉が良い素材に
英語を話せるようになりたい、ビジネスの場面で自分の考えを英語で伝えたい…。「使うため」の英語を身に付けるには、どのような学習法が良いのでしょうか。社会言語学者の瀧野みゆきさんは、英語を「世界の共通語」として捉え直す「ELF(English as a Lingua Franca =エルフ)」という考え方を取り入れた学習法を提案しています。そこで今回は、瀧野さんの著書『使うための英語―ELF(世界の共通語)として学ぶ』から、新しい視点の英語の学び方を一部ご紹介します。 【画像】「聴き音読」の素材におすすめのYouTubeチャンネル * * * * * * * ◆伝わる発音 ELFユーザーとして英語を使うための、「効率的で効果的」と「始めやすくて知的に楽しい」が両立する英語の学び方を紹介していく。本記事では、まず「音」に注目し、発音の学び方を提案する。 ELFが発音を含めた英語の多様性を積極的に認めるのに、なぜ発音の練習から始めるのか、その理由は2つある。ひとつは、自分の発音が嫌いだから英語を使いたくないと感じている人に多く出会ってきたからだ。 英語の会話では発音が互いの印象に強い影響を与える。そのくせ、学校英語では発音は軽視されがちで、練習方法がわからない、発音練習の本を読んでやってみても続かないとよく聞いてきた。 実際、大学で教えていると、英語を口にしたくなさそうな学生によく出会う。やっと受験英語から解放され、「実践的な英語を身につけたい、もっと英語を話したい」という思いは強いのに、いざ英語を話すとなると抵抗がある。 英語の発音に不安があるなら、まずは発音練習から始め、伝わる発音に自信をもち、英語を話すことに安心感をもってほしい。 もうひとつの理由は、発音の練習が英語の音に浸る最良の方法であり、リスニング力を伸ばすための有効な準備になるからだ。
◆発音練習は「聴き音読」で 発音練習の基本は、手本とする英語をじっくり聴き、それをそっくり真似て言う練習である。これを何度も繰り返して練習するために、本記事では「聴き音読」を勧める。 多くの読者が、学校で教科書の本文をCDで聴いて続いて読む、音読をした経験があるだろう。本記事の「聴き音読」は、このお馴染みの「音読」に、通訳の訓練で使われる「シャドーイング」の要素を加えた。 音読は英語のテキストを声に出して読む練習なので、気軽にできる。しかし、一般的にテキストを読むのが中心で、手本の英語音声への注意は疎(おろそ)かになりがちである。一方、シャドーイングは、テキストを見ずに耳で聴いた音を即座に真似る練習で、発音練習の効果は高いが、難易度も高い。 両者の要素を併せた「聴き音読」なら、比較的取り組みやすく、発音練習の効果も上げやすい。英語のテキストを見ながら発音するので安心感があり、音を聴きながら何度も繰り返すので、発音を集中的に訓練するからだ。まずは発音練習の素材の選び方を考えよう。