JR九州、打線が13安打10得点&左腕の鷲崎淳が無四球完封で2回戦進出【社会人野球日本選手権】
◆社会人野球日本選手権1回戦 バイタルネット0―10JR九州(1日、京セラドーム大阪) ■本家応援団を上回る動き「くまモンが一番キレキレ!」【動画】 社会人野球の日本選手権は1日、京セラドーム大阪で1回戦3試合が行われ、2大会ぶり17回目出場のJR九州(九州・福岡)が、打っては13安打10得点の猛攻を見せ、投げても左腕・鷲崎淳投手(26)の3安打無四球完封でバイタルネット(北信越・新潟)に快勝、2回戦進出を決めた。 1番の山脇彰太外野手(25)が、3回の右中間突破となる先制二塁打を含む2安打1打点2得点、2番の吉田創哉内野手(23)も2安打2打点3四球と、2人の12打席で8度の出塁と、相手をかき回したその役割は大きく「チームとしても機能してくれた」と中野滋樹監督(44)も納得顔。この大量得点も大きかったのだが、それ以上に光ったのは「エースとしていいピッチングをしてくれました」と中野監督が絶賛した26歳の左腕・鷲崎淳の快投ぶりだった。 「右バッターがあれをイヤな感じで見ていたので、あそこ(内角)に決まれば振ってくれるだろうと思って投げていました。調子も別に悪くなかったので」 そう振り返った鷲崎の「カットボール」が、この日は実に効果的だった。左腕の鷲崎対策に、バイタルネット打線は先発メンバーに右打者を6人並べてきたのだが、右打者の懐に向かって小さく曲がってくる鷲崎のカットにタイミングが合わない。結局、奪った7三振はすべて右打者から。安定したコントロールで四死球も出さず、10点の大量援護をもらっての9回に1死一、三塁のピンチを招いたが、そこから右打者2人を連続三振に仕留めてゲームセット。最後の打者、3番の津田将治に投じたフィニッシュも、内角へ食い込んでいく133キロのカットボールで空を切らせ「余裕はありましたけど、1点も取られたくないという思いで投げていました」と狙い通りの完封に満足げ。9日の決勝に進むためには、6日の2回戦から4連戦を強いられる日程だけに、2009年以来の優勝を目指す中で、初戦を鷲崎一人で乗り切ったのはチームにとっても大きいが「今回も、どこまで連投できるか、どこまで通じるのかというのも挑戦してみたいと思います」とエース左腕はフル回転も宣言した。 「きょうは10点入りましたけど、もともとは投手力を中心に守りから、ということをずっとやってきたので、そういう形で、相手に点を与えなかったのはよかったかなと思います」 大勝での2回戦進出にも、中野監督はあえて気持ちを引き締めた。息子の琉碧(るい)さんは、福岡・西日本短大付のエースとして、準々決勝で有明相手に公式戦初完封を果たし、今秋の九州大会でベスト4に進出。今夏に続いて来春のセンバツ出場に当確ランプをともした。息子に負けじと、父も全国大会でまずは快勝を見せたというわけだが「息子のことはプライベート。こっちは仕事なので、そこは意識していないです。向こうは向こうで頑張ってくれたらいいのかな、と思います」。父の顔は完全に封印しての〝勝負師モード〟で、まだまだ勝ち進んでいくつもりだ。
西日本新聞社