オリックス二軍合流からわずか1か月後…「自分は夢を見ているのか!?」/元オリックス・マエストリ「カルチョの国から」04
2012年から2015年までオリックスでプレーしたアレッサンドロ・マエストリ氏。4年間で96試合に登板して14勝を挙げた右腕は、NPB史上初のイタリア人選手としても知られる。同氏は現在、イタリアで野球用品販売店を経営しながら、3月6、7日に京セラドームで侍ジャパンと対戦する欧州選抜の投手コーチに就任した。カルチョの国で生まれた野球を愛する男が特別連載コラムをお届けする。 インタビュー・訳=浦口雅広 【選手データ】アレッサンドロ・マエストリ プロフィール・通算成績
ずっと待っていたその瞬間
2012年8月、オリックス・バファローズの二軍への合流からわずか1カ月後、ナゴヤ球場で投げた試合直後にマネジャーが私を呼び止め、「次の日から一軍に行くことになったぞ! やったな!」と告げに来てくれたのを覚えています。ずっと待っていたその瞬間は、こんなにも早くやってくるのか!? 自分は夢を見ているのか!? いや、夢でもこんな早くはない!! 子どものころからの私の一番の夢は、とんでもなくたくさんの観客の前で、プロ選手としてマウンドに立つことでした。……が、シカゴ・カブスから放出されたあと、私のその夢は完全に終わったと思っていたのです。まさかまさか、2番目の夢である「日本に行くこと」と、1番目の夢がわずか4カ月半でかなってしまうなんて、一体誰が想像できたでしょうか。 しかし、まあ、正直なところ、それまではNPBに入団できたと言ってもテレビの向こう側で活躍している一軍の選手は、同じユニフォームこそ着ているが、会うこともまずなかったので、本当にこの世に存在しているのかさえ疑問だったのです!! ついに自分が一軍に……。一軍に合流して最初の数日は、本当にすべてのことが驚きでした。まずは選手たちが乗っていた車。駐車場にはフェラーリ、ロールスロイス、マセラティ、ポルシェなど、あらゆる高級車が停まっています。また、選手からコーチングスタッフ、練習サポート、移動(遠征や用具)スタッフ、キッチンスタッフ、マーケティングスタッフまで、一軍に帯同している人数の多さにも驚愕です。 しかし、私の場合はそういった充実した周りの環境よりも、まずは新しいチームメートたちとのコミュニケーションを重視したいタイプなのですが、心配しなくても全員が本当に衝撃的なほどの優しさで私を迎えてくれたんです! ハイレベルな野球でたくさん経験を積んだ一軍の選手たちの歓迎で、私はすぐに自宅にいるような気分になれたのを覚えています。