そのだるさ「慢性疲労」かも…疲れやすくて、常に倦怠感が続いている原因とは? コロナ後遺症で注目された研究を医師が解説
「慢性疲労」のおおもとは?
では、迷走神経の炎症が始まる、つまり「火種」がつくられている体の場所はどこでしょうか? 【1】コロナ感染で炎症が生じる場所 【2】迷走神経が分布している場所 この二つを満たすことが条件です。そして、その場所こそが「上咽頭」です。鼻の奥で両側の鼻腔から入った空気が合流し、肺に向かって下方に方向を変える上咽頭は細い毛が生えた繊毛上皮で覆われており、ウイルス、細菌、粉塵などが付着しやすい場所です。 上咽頭で生じた火種が迷走神経という導火線を伝わり、延髄や大脳に到達して「脳の炎症」を引き起こすのです。 参考文献 1. Davis HE, et al. Nat Rev Microbiol (2023). https://doi.org/10.1038/s41579-022-00846-2 2. Llados G et al. Clin Microbiol Infect (2023).https://doi.org/10.1016/j.cmi.2023.11.007 堀田修(ほった・おさむ) 1957年、愛知県生まれ。防衛医科大学校卒業、医学博士。「木を見て森も見る医療の実践」を理念に掲げ、2011年に仙台市で医療法人モクシン堀田修クリニックを開業。特定非営利活動法人日本病巣疾患研究会理事長、IgA腎症・根治治療ネットワーク代表、日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症に対し早期の段階で「扁摘パルス」を行えば、根治治療が見込めることを米国医学雑誌に報告。現在は、同治療の普及活動と臨床データの集積を続けるほか、扁桃、上咽頭、歯などの病巣炎症が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。近年はEAT(上咽頭擦過療法)を使った「新型コロナ後遺症」への取り組みも注目を集めている。『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』(あさ出版)。 協力:あさ出版 あさ出版 Book Bang編集部 新潮社
新潮社