父のGS曲を聴いてほしい 50年越しに娘がバンドで熱唱
大阪・父のGS曲聴いてほしい 50年越しに娘がバンドで熱唱 風船うさぎ THE PAGE大阪 打越元久「たとえば」
父の果たせなかった夢、私たちが叶えます──。大阪市北区の中崎町周辺。繁華街・梅田から歩いて数分の場所ながら、長屋などレトロな建物が建ち並び、昭和風情たっぷりな街として知られているが、そこにあるスタジオを拠点に「昭和歌謡」を歌うバンドが、新曲リリースのため練習に励んでいた。聞けばその曲は、バンドのボーカルを務める女性の父親が、かつて所属していたグループサウンズ(GS)バンドで歌っていたもので、東京でのデビューを誘われていたもののそれが叶わず、レコーディングが幻に終わった曲だという。約50年近くの時を超え、娘が父の夢を叶えるためその曲を熱唱。5日夜のライブ初披露に向け「これからもずっと歌っていきたい」と意気込みをみせている。
昭和の雰囲気漂う街のスタジオ拠点にする昭和歌謡バンド
大阪市営地下鉄の中崎町駅近くに、壁に水槽が展示されたレトロな建物を見つけた。一見、観賞魚専門のペットショップに思えたが、よく見たらギターも飾られ「STUDIOぐび」の看板も。このスタジオを経営する喜多直弘さんは「よくペットショップや理容店と間違えられますわ」と苦笑するが、奥からは楽器の音が響きわたる。 その喜多さんも所属する「風船うさぎ」というバンドが今、1960年代に作られた曲をカバーしようと練習を続けていた。曲のタイトルは「愛しのメヌエット」。聞けばこの曲は、同バンドのボーカルを務める女性、風船みうみうさん(43)の父、三浦真人さん(70)が学生時代に組んでいたGSバンド「ザ・チェックメイツ」の曲だったという。 「私は大人になるまで知らなかったんですが、父は学生時代に神戸でバンドを組んでいて、テレビとかに出たりしていたそうなんです」とみうみうさん。なんと、同バンドは堺正章や井上順、かまやつひろしらが名を連ねた「ザ・スパイダース」の前座まで務めたという。「父に聞いた話ですが、この『愛しのメヌエット』をテレビなどで披露していたそうです」 また、真人さんはGSデビューの登竜門と言われ、沢田研二がボーカルを務めたザ・タイガースなども舞台に立った、大阪・道頓堀のビル「ナンバ一番」の音楽喫茶ステージにも、ベース担当で演奏していたという。