元「青文字系」のカリスマ AMOが大人になった青文字ガールたちに今伝えたいこと
何を着たらいいのかわからなくなってしまった
ーご自身のライフステージの変化をきっかけに2015年にスタートした「ルビーアンドユー(以下、ルビー)」は、「少女から大人へのグラデーションにいる同世代の女性」へ向けた提案をされています。立ち上げの背景を教えてください。 ルビーは24歳の頃、第一子妊娠中に立ち上げて、今年で9年目になります。それまで自分の好きなものに振り切った格好をして、ジッパーやケラでファッションアイコンとして多くの人に見ていただいていたのに、妊娠を経て急に、“お母さん”になる自分が何を着たらいいのかわからなくなってしまったんです。「ハイトーンの髪もふりふりもミニスカートも厚底の靴も、もうやめなきゃ」、「“お母さんとして“まともな人に見られたい」と必死になっていたんです。 ブランドを作るお話を最初にいただいたのはそんな時期で。正直、AMOとして発信できるものはないと思ったので一度はお断りしたほどです。でも、自分の好きなものを思い返してみると、母親になったところで変わらず私は可愛いものが好きだと気が付きました。そうして、試しに子どもの頃のように「今着たい服」を想像して絵を描いてみたら、いずれ私と同じ悩みにぶつかるかもしれない方々に向けて、自分なりの発信ができるかもと思えたんです。ルビーでは、ガーリーなものが好きという気持ちと共に歩んでいくために、「大人になったからこそ」の可愛いの取り入れ方を提案しています。 ー新ブランドの「ポワニェ」では、ルビーとはまた別の女性像を提案されていますね。 ルビーを立ち上げた9年前に私が強く感じていた「お母さんだから」といった固定観念や年齢、体型、立場を理由に好きなファッションを諦めるという風潮は、この9年で大きく変化したと思います。時代の変化とともに、私自身ももっと挑戦的な服を作ってみたいし、自分でも着たいと思うようになりました。ポワニェは、年齢を問わずそうした「挑戦したい」マインドを持ち、服で自分の個性を表現したい方に届けたいです。 ー具体的に時代の変化を感じた体験はありましたか? コロナの時期に好きなものがいっぱい増えたんです。自分自身と向き合う時間が増えた分「自分が本当に好きなものってなんだろう」「今の自分に響くものってなんだろう」と、色々なものに関心を向けてみたら、人生で初めてK-POPアイドルを好きになったんです(笑)。それが直接的な要因ではないですが、それまでは自分がこの先何か新しいものに夢中になることなんてないと思っていたし、想像もできなかったので、未知の自分に出会ったように衝撃でした。まるで、“興味がないと思っていた洋服屋さんに入る”ような新しい扉が開く感覚で、何歳になっても、新しい世界に飛び込むことができると気がついたんです。ポワニェでは、ファッションを楽しむ気持ちから離れてしまっている人にも「もう1回楽しんでみない?」という思いを提案したい。未知の自分に出会えた時のドキドキ、キラキラ、わくわくな感覚を届けたいです。 ー具体的に両者のアイテムはどのように違うのでしょうか? ポワニェでは、自分では作ってみたかったけれど、ルビーのお客さんに向けたデザインではないよな、と却下してきたアイデアを詰め込んでいます。例えば、ルビーでも度々作ってきてたセーラーモチーフは、ルビーではコットンやレース、ヴィンテージライクな素材などを使って甘めに仕上げますが、ポワニェではスポーティなナイロン生地を使ったり、大胆な肌みせや挑戦的なカッティング、ドロストコードを入れることで少しストリート要素を取り入れています。 ーご自身の心境に変化があっても、ルビーをリブランディングはしなかったんですね。 ルビーを作った頃に感じていた迷いや思いは今でも忘れたくないですし、「ルビーの服で救われた」と言ってくださるお客さまもいたので、ルビーのように「寄り添う感覚」の服作りはこれからも続けていきます。 ーお子さんも大きくなられて、また新たなライフステージの変化のタイミングでもあるのでしょうか? 下の子がこの春で幼稚園を卒園して小学生になりました。上の子も小学生なので、2人とも小学校に入ると自分の時間ができるなと。改めて自分自身に向き合うようになったんです。コロナ禍の時と同様に「自分の好きなものってなんだろう」と考えたり。これまで我慢していたりトライしてこなかったようなものに、今凄く興味が湧いています。