時代とともに変わりゆく高校野球の姿 センバツ大会から新ルール本格導入
投手の球威、球速アップに期待
2点目は「投手の投球姿勢」と「反則投球の取り扱い」の削除である。2023年度までは「投手の投球姿勢」において、次の通りとされていたが、削除された。 ・ワインドアップポジション ① 投手は、打者に面して立ち、軸足は投手板に触れて置き、他の足の置き場所には制限はない。ただし、他の足を投手板から離して置くときは、足全体を投手板の前縁の延長線より前に置くことはできない。 ② このように足を置いてボールを両手で身体の前方に保持すれば、ワインドアップポジションをとったとみなされる。 ・セットポジション ① 投手は、打者に面して立ち、軸足は投手板に触れて置き、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を静止したとき、セットポジションをとったとみなされる。 ② セットポジションをとった投手は、走者が塁にいない場合でも、必ず完全に動作を静止すること。 また、反則投球の扱いについては下記の3点が適用されていたが、同じく削除された。 ・投手がワインドアップポジションおよびセットポジションに規定された投球動作に違反して投球した場合(投球動作をスムーズに行わず、ことさら段階をつける動作も含む)―高校野球特別規則 ・ 投手が投手板に触れないで投げた打者への投球 ・クイックリターンピッチ 反則投球した場合は、その投球にボールを宣告する。ただし、安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達した場合は除く。塁に走者がいる場合は、ボークである。 これらが削除されたことにより、いわゆる二段モーションが今年度より解禁されることになった。高野連は改正理由に関して「相応の期間が経過したことに加え、昨今のテクノロジーの進化で、大学・社会人・プロをはじめとした他の上位カテゴリーの投手の投球フォームを参考にする投手が増えています。高校野球においても、投手の投球姿勢を公認野球規則通りとしました」と説明している。 これまでは「当初、高校野球は裾野が広く、また、主大会がトーナメント方式であり、打者が初めて対戦する投手が多い」といった理由から投球姿勢に制限を設けられていたが、今年度より、二段モーションの解禁が決定。これにより、投手は軸足に体重をしっかりと溜めてから体重移動を行うことで、よりタメを作って投げることが可能となる。すなわち、よりボールに力が伝えやすくなることで強いボールを投げることができ、球速や球威がアップすると考えられる。打者目線からすればタイミングが取りにくくなるが、投手のレベルアップにはつながるといえる。