レクサス RZ【3分で読める国産車解説/2023年版】
レクサス RZ(LEXUS RZ) 現行モデル発表日:2023年3月30日 車両価格:820万円~880万円 【写真はこちら】 走行安定性を確保する特徴的なデザインのルーフスポイラー。トランクエンド部はダックテール形状となっている(全4枚)
レクサスらしく走りの所作も美しいBEV
RZは始動後からPCUまわりの電子的な音はしっかり抑えられており、他のBEVと比べても停止時の静粛性はすこぶる高く、長年HEVを手掛けるノウハウの広さや深さを感じさせる。そして走り出しからモーターの稼働音やインバータのノイズなどもしっかり封じられている。 バネ下の動きは至ってスムーズで、ブレや跳ねのようなものは滅多に感じるない。路面の凹凸に応じてしっとりと歩を合わせていることがクリアに伝わってくる。濁りのない応答感に一助しているのは車体の減衰特性を整えるパフォーマンスダンパーだろうか。このあたりのフィーリングはbZ4X/ソルテラと大きく違う。直接のライバルと想定されるのはドイツの3強になるだろうが、近しいグレードのモデルを思い浮かべても低中速域での動的質感は勝るとも劣らずという印象だ。 速度が増すと伝わってくるのは車体剛性強化への念入りな施しだ。そもそもが強固な建て付けのバッテリーユニットのおかげで低重心化や床面の強化が副産物として現れるBEVでは、むしろ上屋や足まわりの剛性もそれに負けないところまで高めておかなければ、衝撃がヤワなところに集中してしまう。そういったネガを地道に潰していった成果が、多少の大きな入力にも動じずスキッと減衰させるクルマの度量の大きさにつながっている。 前後軸のモーターからなる4WDシステム「ダイレクト4」は理論的に0:100~100:0の前後駆動配分が可能だが、発進時や加速時はピッチング姿勢を抑えるべく約60:40~40:60の間で、旋回入りは約75:25~50:50と前軸基調で引っ張り、脱出時は約50:50~20:80と後軸基調で蹴り上げるという制御をシームレスに行うという。 その加速感や旋回感はあくまでリニアで刺々しい着色がない。激しいアクセルペダルのオン/オフを試みても、首をもっていかれるほどのドギツイ姿勢は敢えて抑えて、ぐっと全体を沈み込ませるように操作に反応する。プレミアムのゾーンにはRZより体感的に速いBEVはいくらもあるが、RZより綺麗な所作で走るBEVはいくらもないかもしれない。 それはコーナリングでも同じで、アクセルペダルのオンオフに伴う上屋のラフな動きは最小限で、パワーをぐんと乗せていってもサスペンションはじんわりと沈み込みながら、底づき感もなく、ぐっと踏ん張り抜いてくれる。この駆動配分によるボディコントロールは、後日市販車にも追加設定される予定のステア by ワイア システムがあれば、さらに活きるだろう。
レクサス RZ450e バージョンL 主要諸元
●モーター種類:交流同期電動機×2 ●バッテリー容量:71.4kWh ●モーター最高出力:前53kW(72ps)、後80kW(109ps) ●モーター最大トルク:前266Nm(27.1kgm)、後169Nm(17.2kgm) ●駆動方式:4WD ●サスペンション形式:前ストラット、後ダブルウイッシュボーン ●タイヤサイズ:前235/50R18、後255/45R20 ●価格:880万円
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