「お助け侍」から「ベストナイン侍」へ 「史上初」も「リーグ初」もあった万波中正“飛躍の1年”
●5月:パ・リーグ月間MVP受賞
―– 『プロ野球で初めてこういった賞を獲れたので、本当にうれしく思います。強い打球を確率良くフェアゾーンに飛ばしていくということを今年の目標にやってきて、それが少しずつ形になってきたのが5月だったと思います』 ~北海道日本ハムファイターズ公式サイト(2023年6月8日配信記事)より ―– 万波がこう語って受賞を喜んだのは5月のパ・リーグ月間MVPを受賞したとき。この5月だけで7本塁打をマークし、プロ入り後、初のタイトルを手にした。 なかでも衝撃的だったのは5月30日、交流戦初日に放った2打席連続アーチだ。この試合は4番に座った万波の打点のみで2対1と勝利。チームの主軸として存在感を見せ始めた時期だった。
●7月:オールスター2戦連発! 敢闘賞&MVPをW受賞
今年のオールスターゲームで最も輝いた男、と言えば万波だ。まずは7月19日の第1戦。選手間投票で選ばれ、初のオールスターに臨んだ万波は6回の守備から途中出場。すると次の7回、オールスター初打席でフルスイングした打球は、ライトポールを直撃。史上18人目となる「オールスター初打席初アーチ」の快挙で敢闘賞を受賞した。 そして翌日の第2戦。パの「4番センター」に抜擢されると、セ・リーグ先発バウアーから左中間席へ飛び込む特大の一発。オールスターでの2試合連発は23人目、オールスター初出場からの2試合連続アーチは史上初の快挙であり、文句なしでのMVP受賞となった。
●9月:歴史的「先頭打者弾&サヨナラ弾」
まさに歴史的な活躍となったのが9月16日のソフトバンク戦でのこと。この日、1番で起用された万波は1回裏、自身初の先頭打者アーチを放ち、先制点を挙げる。 その後、同点に追いつかれ、迎えた9回裏、1死一塁で打席に立つと、ソフトバンク・オスナの153キロストレートを強振。打球はエスコンフィールドのレフトスタンド2階席上段へ吸い込まれるサヨナラアーチとなったのだ。 ―– 『自分自身も鳥肌たちながら、今まで以上の歓声を浴びて、ビリビリしながら一周していました』 ~『日刊スポーツ』2023年9月16日配信記事 より ―– 同一試合で初回先頭打者弾とサヨナラ本塁打を記録したのは、93年10月のパウエル(中日)に次いで30年ぶり2人目、パ・リーグでは史上初の快挙だった。