BEGIN『うたの日コンサート2024』オフィシャルレポート MONGOL800、古謝美佐子ら沖縄のアーティストとうたのお祝い
そして、開演して5時間、「うたの日」最後の出演者はBEGINだった。この時、会場には約7,000人が来場していたと聞く。この時を待っていたとばかりに、BEGINの登場に、みなが立ち上がった。 1曲目はデビュー曲「恋しくて」でスタートした。栄昇の歌声は、年を重ねることで、歌い続けることで、ますますブルージーさを纏っている。そんな35年目の「恋しくて」の瑞々しさに驚いた。続く優が歌う「海の声」はここ数年でBEGINの新しいスタンダードとなり、優と観客の声が混ざり合っての大合唱。 後半は、琉球國祭り太鼓をステージに迎え、「オジー自慢のオリオンビール」、「三線の花」と続いた。特に唄三線の発祥と言われる読谷村での「三線の花」は、どこか特別な響きを含んでいたように思う。歌の中にはオジーの人生は語られないが、形見の三線の中に、この島に生きた人の想いを知り、島唄を通してその想いを受け取ることができるのだ。そうやって、「うた」が人々の暮らしのそばにいつもあることに、「うた」への感謝が湧いてきて、静かな感動が押し寄せた。観客も感無量で、拍手が鳴り止まない。 これでは終わらなかった。この後は、マルシャの2拍子のリズムに、宮城姉妹率いるサンバチームとホーンセクション隊が加わり、「ワッショイワッショイ!」との掛け声を合図に、今日の出演者が順番に参加し、日本の流行歌を歌い継いでいくマルシャショーラのコーナーがノンストップで30分以上続いていくのだ。そのリズムの中、「笑顔のまんま」「ソウセイ」、そして、最後の「島人ぬ宝」。その時、「うた」は、観客一人一人の心の中にあった。誰もが歌いながら、ほんとうに幸せそうに笑っていた、その姿がとても印象的だった。さまざまな世代の人たちが集い、そこに歌があり、踊りがあり、笑顔であるという、ただ本当にそれだけのことが、なんて美しいのだと心が震えた。 2001年から始まった「うたの日コンサート」は、今年、23年目の開催を無事に終えた。どんな伝統も行事もその時その時を大切に受け継いできた人たちがいたからこそ、受け渡された「今」がある。きっとこの「うたの日」も、こうして続けていく先に、受け継がれた「うたの日」で歌い踊る人たちの未来があるのだろうと思えた。 ここから未来へ。受け渡していきたいものが何か、あらためて、確かめるような1日を体験した、そんな「うたの日」だったと思う。 文:川口美保 <ライブ情報> BEGIN 35周年記念公演『さにしゃんサンゴSHOW!!』 2025年3月22日(土) 大阪・大阪城ホール 開場16:00 / 開演17:00 2025年3月30日(日) 東京・日本武道館 開場17:00 / 開演18:00